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天国に届け!
「私のクイール」手紙大募集! |
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優秀賞 |
天国に届けクイールへの手紙 |
大阪府箕面市 山田敦子さん(62歳) |
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小学校高学年の頃だったでしょうか、どこかで見た外国のらしいグラビアの中の一枚の写真に思わず釘付けになった記憶があります。
それが私にとって初めての「盲導犬」との出会いでした。盲導犬の存在すら知らなかったので、その活躍振り等知る由もないまま、唯々身体中が熱くなる程感動し、それ以来何となく「いつか私も盲動犬に関わる事をしてみたい!」そんな夢を追い続けてきました。あれから半世紀が経った今、神様はほんの少しストーリーを変えて私にチャンスを下さったのかも知れません。
それは丁度一年半前より光を失い、現役を引退した主人を“誘導する”と云う大きな役目が与えられたからです。
「あれ・それ・あそこ」思わず口走ってしまう代名詞を用いないで説明するもどかしさは勿論、高さ、幅、長さの加減すら計り切れない一歩一歩にどんなに戸惑ったことでしょう。家の内外を問わず、大きな壁に幾度となく、頭も身体も打ちつけ乍らの二人三脚の戦いの日々でもありました。お互いが思いやり労り合い過ぎて疲れ果てていたのも事実です。そんな時、何かを求めたい気持の中に真しぐらに飛び込んできたのが、愛らしい表紙の『盲導犬クイールの一生』でした。
ブリーダーの水戸さん、パピーウォーカーの仁井さん御夫妻、訓練士の魔術師多和田さん各々皆さんの素晴らしさ、御活躍こそが、この五十年余り私が抱き続けた大きな大きな憧れだったのです。
涙々で読み終えた時、何故かクイールが私の側にピッタリと寄り添ってくれているように思えたのです。そして素直さの光る誰からも愛されたクイールが黙って教えてくれました。肩を張らずに落着いてゆったりとした気持ちで行動すること、自分の役割に誇りを持つこと、自然な振る舞いが何よりも安心に繋がることひとつひとつを明るい未来に向けて語りかけてくれたように思えました。当り前のこと、それが仲々出来なかった私の胸深く、クイールの優しさが静かに沁みてゆきました。
何て有難いことでしょう。
白い杖を右手に持つ主人は、いつの日か握ってみたい“ハーネス”を持つ左手を、普段私の右肩に添えています。そして半歩先を歩く私の“心の中のハーネス”にはいつもクイールがしっかりと輝いてくれているのです。
その輝きに支えられ励まされ導かれて、我々夫婦は今日も一日のスタートを切りました。
「クイール、本当にありがとうね
何度も何度も沢山お礼が言いたいです」
この声が、この感謝の気持が、あなたのもとに届いていますか?
“天国のクーちゃん!!” |
■入賞作品■
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