対談:清涼院流水×水野俊哉

 

[ 第2回 ] 新刊続々、流水祭り開催中!

清涼院
ビジネスの第一線で活躍されている水野さんや内藤さんに僕の小説を注目していただけるのは、僕自身はもちろんのこと、小説界全体にとっても貴重なことだと思います。
水野
ビジネス書の側の人間の中にも、作家とは話が合わないという偏見があるようですが、流水さんは普通に話ができているし、人間的に興味を持たれることも多いので、今はとてもいい関係ができつつあるような気がしています。
清涼院
ビジネス書の世界では、最近は勝間和代さんや本田直之さん、山田真哉さんなど、すごくキャラの立ったタレントが増えましたね。かつての新本格ミステリ・ブームでもキャラの立った作家が続出しましたが、今のビジネス書界にも似たような現象が起こっているようです。
水野
いまのビジネス書の著者は、三十代半ばから四十代前半くらいが中心ですね。読者の中心は我々と同じか少し下の世代なんですが、今ちょっとしたビジネス書の読書ブームが起こっているんです。彼らは一万円くらいするビジネス書関連のセミナーにも熱心に参加するし、ビジネス書の読書会や勉強会も流行っています。活字離れと言われて久しいですが、実はよく本を読んでいるんです。だからこそ、私も流水さんも、ビジネス書だけでなくて小説も読んでもらいたいし、小説を読まなくなった人にも、もう一度小説の面白さを再発見してもらいたいと思っています。
清涼院
水野さんはいま、重要な問題を提起してくれました。ビジネス書を読んでいる若い読者と話していて感じるのは、彼らが小説よりもビジネス書にリアリティを感じているということです。豊かな時代には小説が自分の精神を救ってくれたという面がありましたが、現代の若者には精神の救い以前に、厳しい時代を生き抜き、人生をよりよくするためのビジネス的スキルが必要なんですね。そういう若い読者が本当に求めているものを小説は提示できているのかと僕も考えるようになって、その一つの答えとして書いたのがまさに『コズミック・ゼロ』なんです。
水野

ジャンルの垣根自体、なくしてしまえばいいんです。私は八月までに三冊ぐらい本を出しますし、流水さんも量から質への転換と言いながら、この三カ月間で五冊も出すでしょ(笑)。秋には二人で共著も出して、文芸・ビジネス両方のジャンルの人に驚きを与えたいし、ここをスタート地点として、二人でいろんなことをやっていきたいですね。
「水野流水」という企画が出てから、「絶対成功法則」というのをお互いにメールで送り合っています。「成功法則」が自分だけが成功するための法則だとすると、「絶対成功法則」は自分だけでなく周りの人すべてを成功させる法則なんですね。それが実現できなければ、真の成功者じゃないだろうということを二人で話し合って、お互いに五百ずつ法則を出しあって千個になったら、そこから三六五個を選んで一日一個の「成功ブック」を作る。この企画は引受先を決めないまま進めていたのですが、その引受先を決める打ち合わせをしていたまさにその瞬間に、流水さんが千個目の法則を書いたメールを私に送ってくれていたことが、後からわかったんです。
 つまり、「水野流水」として「成功ブック」をやると決めてからは、ジャンル以前にとにかく面白いものを書かなければいけない、「水野流水」の前に絶対にコケるわけにはいかないというプレッシャーがあって、今年最初の本である『法則のトリセツ』にも椅子を壊すほどの気合が入ったし、八月までに出る本についても、小説界やビジネス界の誰も想像できなかったような成功の竜巻、トルネードを起こしたいし、流水さんの作品も小説界だけでなくビジネス書の読者や編集者に浸透していって、伝説を作って欲しいと思ってます。

清涼院

そのあたりは、水野さんに感謝しています。水野さんの勉強会でも最初は「あの人誰?」みたいな感じだったのが、最近はビジネス書にやたらくわしい唯一の小説家みたいな感じで認知されて、あの流水の本が出るなら応援してあげようと、盛り上がってくださる方たちもいらっしゃる。