清涼院流水
コズミック・ゼロとは
元日の午前零時、全国の初詣客が大量に消失し、同時に警視庁や県警本部が謎の集団により占拠された。
それが<ゼロ計画(コズミック・ゼロ)>の幕開けだった。計画を実行するのはそれぞれが特殊な能力を持った7人組“セブンス”。リーダー・タクトの指揮の下、彼らは日本中の人という人を次々と消していく。一体どうやって、そして何の目的で? 前代未聞の異常事態に日本中が大パニック。上は首相から下は普通のカップルまで、さらに米英の諜報部員や某国の工作員たちも、生き残りをかけて奔走するが、日本の人口は着々と減り続ける。
果たして日本はこのまま絶滅してしまうのか!?
日本中の人が次々消えていく『コズミック・ゼロ』には、さまざまな地名が登場します。
物語にそって本文をご紹介しながら、Googleマップにリンクをしました。文中のをクリックすると別ウィンドウでGoogleマップが開きます。
日本最多の初詣(はつもうで)客数を誇る、明治神宮内苑だ。
午前零時までまだ1時間近くあるにもかかわらず駅周辺は待ちあわせや往来で混雑が渦巻き、拡声器を手にした駅員と警察官が群衆を誘導している。
地下鉄千代田線の明治神宮前駅のほうから原宿駅前、そして、明治神宮内苑の黒々とした濃い闇の奥まで、どこもかしこも人で埋め尽くされている。(本文P7より)
東京メトロ平和台駅の入口はシャッターで封鎖され、エレベーターも使用禁止となっていた。
貼り紙によると、東京メトロは当分のあいだ営業停止するという。工藤大地が観た朝のニュースでは報じられていなかったので驚き、焦った。(本文P101より)
壁に掲示された駅名表示が水に揺らぎ、ぼやけた光を放っている。画像だけではわからない轟音が、水飛沫と映像の乱れから響いてくるようだ。
無人の永田町駅は、水没していた。
水位は、なおも、ゆっくり上昇し続けている。(本文P142より)
北野と川北は能生(のう)漁港のドックからかすかに光が洩れているのを見つけ、中へ侵入した。
新潟県民が全滅したのだとしても、入口に見張りすら立てていないのは、情報部の本局としては警戒が甘すぎる。北野と川北には好都合だが——。(本文P271より)
新島涼人は、ひとり歩いていた。
御成小学校を出て、南へ——。
由比ケ浜に出ると、海を横目に、海外沿いを走る国道134号線を、まっすぐ西へ歩いていた。
人も車も、どこにも見当たらない。(P333より)