ホンネの女子読書会

西井さん写真

西井聡子さん(百貨店勤務)

今井接客業ってそういうところありますよね。お客さまに対応することで気持ちが切り替わったり、あとは制服を着ることで気分のスイッチが入ったり。

幸脇編集者の仕事も、人に会うことで助かることはいっぱいあります。プライベートですごく落ち込むことがあっても翌朝のアポイントがあればちゃんと起きて出かけていって仕事をして、そのことで「自分はまだ大丈夫だな」って確認できるんです。仕事をしてなかったらもっともっと落ち込み続けちゃうだろうなと思うことはよくあります。

女性同士だからこそ分かる複雑な友情

今井「亜美ちゃんは美人」を読むと、女の子の友達同士の、どんなに仲が良くても嫉妬もしてしまう部分とかが描かれていて最後までとても引き込まれました。美人で華やかで、さかきちゃんから見ると鈍感なような亜美ちゃんだけど、読み進めていくうちに本当に鈍感なのかな? と思えてきて、亜美ちゃんがどんな子なのかがすごく知りたくなりました。

岩室亜美ちゃんってただの鈍感な子じゃないですよね。読み進めていくうちに「あ、空気を読んで鈍感に振る舞ってるのかも」と思えてくるんです。自分がかわいいということに気づいてないよ、という空気を一生懸命だしてるんじゃないかなって。

幸脇女の子同士の<かわいいは権力、ださいは死刑>っていう中高時代の感覚がすごく鮮やかによみがえって、編集部の女性同士でも「こういうことってあるよね!」と話が盛り上がりました。亜美ちゃんに対して嫌なことを思ってしまう自分についても冷静に考察してるさかきちゃんが大人に見えて、さかきちゃんファンになりました。

西井亜美ちゃんみたいなずば抜けた美人って年を経るにつれて普通の輪からはみ出していっちゃう感じがして……。亜美ちゃんの彼氏が「嫌いじゃないから結婚してもいい」みたいにさかきちゃんに話してきかせる場面では涙がでてしまいました。

綿矢え、嬉しい。ありがとうございます。

綿矢りさ・著『かわいそうだね?』 デビューから10年