綿矢りさ・著
西井私はデパートで働いてるので、ずっと同じ商品を見てると気になってだんだん欲しくなっちゃう樹理恵ちゃんの感じとかもすごくよく分かりました。
加藤そうそう、社員食堂のがやがやした感じとか、バックヤードから売り場に出る時にプライベートと仕事が切り替わるのも。どうしてこんなことご存知なんだろう、と思いました。
綿矢ありがとうございます。少しだけ洋服屋さんでバイトしていたことがあるので、その経験が活かせたかも。働いてるうちに欲しくなってバイト代をつぎ込んでしまうということを本当にやっていたので(笑)
今井私は書店勤務なので業種は違うんですけれど、販売員として暇な時よりも忙しい時のほうがテンションが上がって「働くのって楽しい!」と思ったりするところは一緒だなと思って共感しました。あと、本も見ているうちにどんどん欲しくなってしまうんですよ。
全員やっぱりそうなんですね!
今井クリスマスの描写も、売り場の賑やかさと家に帰ったときの静かさの落差とかすごくよくわかります。<静寂は裏切らない>っていう……。色んなところにちょっとずつ自分が入っているなぁと思いながら読みました。
岩室私は樹理恵ちゃんみたいには切り換えられなさそうで、恋愛がうまくいってる時のほうが仕事もうまくできるかも。悩みがあるとそちらが気になってしまって。
今井私も基本的にはうまくいってる時のほうが仕事も充実すると思うんですけど、恋愛小説のPOPを立てるときなんかは、プライベートの悩みとシンクロする部分があるとすごく切実なPOPになっちゃったりしそうですね。
綿矢そんなPOPがついてたら読んでみたくなりますよ! 私も、健やかな生活をしてる時のほうが妄想を広げやすくて小説は書きやすい気がします。