すべて数値化すれば、効率的に広告が打てる。
そう信じるグーグルの若い創業者たちにメディア王は叫んだ。
ビル・ゲイツの予感は正しかった。そのとき検索エンジンで世界を変える夢を語りあうふたりが出会っていた。
(1999 ~ 2000 年)
カネを稼ぐアイデアはないが、すごい技術への自信はある。 ふたりはシリコンバレーで潜伏しながら同志を探した。
(2001 ~ 2002 年)
グーグルにプロのCEOがやってきた。黒字を計上したことで、ついに彼らは悟る。「我々は広告業だったんだ」
(2002 ~ 2003 年)
Gメールに書籍検索(ブックサーチ)。発想の湧くまま生まれるサービスから、 エンジニアは無駄に見えるものは遠慮なく切り捨てる。
(2004 年)
一般用と経営者用。権利に差のある株上場に「より良い世界を目 指す我々は普通の会社ではない」と創業者は語る。
(2004 ~ 2005 年)
「グーグルは邪悪ではない」という信頼に支えられた急成長。だが中国政府の検閲を許したとき、社会に疑惑が生じる。
(2005 ~ 2006 年)
新聞王のマードックがマイスペースを買い、伝統メディアの目も覚めた。コンテンツの支配権をめぐり戦いが始まった。
(2007 年)
業界を“ 中抜き” してネット広告の覇権を握るグーグル。検索情報との連動で高まるプライバシーへの不安を一笑に付したが。
ネット広告最大手の買収は、独占禁止法とプライバシーの問題に火をつけた。グーグル幹部の他者への鈍感さは油を注ぐ。
(2007 ~ 2008 年)
次のターゲットを携帯に定め進撃を開始したグーグル。その社内には大企業病が芽生え、人材が流出しだしている。
(2008 年)
新聞、テレビ、音楽、出版……。苦境に陥る各業界の企業にとり、ネットの収益化は、なかなか険しい。
自分はユーザー側にいると信じるグーグルも、コンテンツを抱える各業界との交渉のテーブルにようやくついた。
(2008 ~ 2009 年)
大不況の波はネット業界も覆い、グーグルにもコスト意識が生まれる。広告に頼るビジネスの正念場はこれからだ。
(2008 年)
昨日の華々しい事業は、今日の衰退事業。未知のイノベーションに恐怖しても、先に進む道しか企業には残されていない。
「広告で無料」は本当に新しいのか? ネット時代にもまともなコンテンツには対価が必要だが、受取法は不明のままだ。
(2008 ~ 2009 年)
グーグルとて明日はわからない。SNSや新しい検索エンジン。次の覇権を握るためのレースは既に始まっているのだから。
謝辞
原注注
訳者あとがき