悪の教典 Lesson of evil

貴志祐介

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蓮実聖司をはじめとする教員たちの紹介ページです。
校内見取り図<Layout>
晨光学院町田高校の校内見取り図です。詳細もあります。

著者インタビュー

蓮実聖司は矯正可能だったか

――そうなんですか!

貴志 彼らは、例えば突然誰かに襲われたら、普通の人が状況の困難さに躊躇してしまいそうなところで、まず攻撃を考えるタイプの人たちで、暴力犯罪者の中に相当数含まれているとする説が、かつて流布したことがありました。その後、追跡調査をしたら、社会的に成功している人もずいぶんいることが判明したんですが。
超男性は、情がないわけではない、ただ反応が普通の男よりもっと激烈に男性的なわけですよ。それが吉と出れば非常に成功するんですね。たぶん女性にはすごくもてますよ。女性的な風貌の男を好む女性もいますけれど、ものすごく男性的な男性はやはり女性にもてますよね。ワイルドな雰囲気で。格闘家なんかみていると、もしかして超男性なんじゃないかな、と思うことがあります。

――特別に鍛えていなくても、超男性だと、どことなく格闘家のような剣呑な雰囲気があるということでしょうか。

貴志 何ていうんですかね、甘いところがないというか、例えば女性性が甘い味で男性性が塩辛い味だとすると、ま、ちょっと普通の男でも少し甘くてしょっぱい感じ。それが、もう完全に塩、いわば激辛の人ですね。人に対して厳しいという意味じゃなくて、その人の風合いとして、ですけれど。
サイコパスに話を戻すと、彼らにも必ずしも暴力的な犯罪を犯してクラッシュしてしまう人たちばかりではなくて、成功している人が結構いるんですね。あまりに成功すると、もう何も変なことをする必要がなくなってしまって、要するにただ普通の人より頭がよくて果断、ということになる。その場合は、何の文句もないですよ。成功者のなかにサイコパスが混じっているから警鐘を鳴らす、というつもりは全然ないです。完全に欠落した人は稀かもしれませんが、普通の一割くらいしか他者への共感能力を持たない人でも充分成功しうると思います。蓮実がやったようにそういう欠陥を早いうちに自覚できれば、頭の良さでカバーできますし、社会に出てからは、必ずしも人に好かれる必要はない。むしろ成功するには恐れられたほうが効果的な場合もありますから。