荒海や佐渡によこたふ天の河
(あらうみや さどによこたう あまのがわ)
夜の日本海に浮かぶ佐渡島の黒々とした島影。その手前でうねる日本海の荒波。二つの対比的な事象を超越するかのように、天空をまたいで天の川が横たわっている。
芭蕉ならではの、スケールの大きな描写で、「奥のほそ道」を代表する名句のひとつです。
ただし、実際に見た風景かどうか、判断が分かれるところです。
この句を詠んだとされるのは七夕も近い7月4日(新暦8月18日)ですが、同行した曾良の日記によれば、新潟を発つときは快晴。出雲崎に着いたのは午後4時頃で、夜中には強い雨が降っています。夕方以降は、かなり天気がぐずついていた可能性がありますので、天の川が見えたがどうか、微妙なところです。また、この季節に天の川が最も輝くのは南の空から天頂にかけてであり、佐渡島とは反対の方角なのです。
ただ、芭蕉は酒田を発った6月25日以降、ほぼ一貫して日本海沿いの道を旅しています。出雲崎に至る10日もの間、海を隔てて佐渡島を眺めていたはずです。流刑の地である佐渡島と、年に一度の橋を架ける七夕の伝承への思いが出雲崎において結実した句なのかもしれません。
出雲崎・芭蕉像
出雲崎・芭蕉句碑
出雲崎・妻入り屋根
出雲崎・良寛堂
今回訪れた街へ