象潟や雨に西施がねぶの花
(きさかたや あめにせいしが ねぶのはな)
芭蕉が訪れた当時の象潟は、波静かな入り江に九十九島が浮かび、松島と並ぶ景勝の地だったことは、七星こと太田和彦氏が「オール讀物」誌上で記した通り。
西施は中国四大美女のひとり。持病のため眉をひそめることが度々あったが、その表情がひときわ美しさを際立たせたという、影のある美女。「顰(ひそみ)に倣」という故事成語も、当時の人々が西施の美しさをまねたことから生まれたと伝えられている。
芭蕉は、象潟の魅力を、
〈江の縦横一里ばかり、俤松島にかよひて、又異なり。松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし。寂しさに悲しみをくはえて、地勢魂をなやますに似たり〉
として、絶世の美女・西施になぞらえてみせたのだった。
-
象潟・蚶満寺の芭蕉像
-
象潟・蚶満寺の芭蕉句碑
-
鳥海山と九十九島
- 今回訪れた街へ