――そういう人たちが、殴り込んできているわけですね。
貴志 ほんとに総合格闘技的世界というか、昔はボクシングならボクシング、レスリングならレスリングだけでやっていたのに、あらゆるジャンルがミックスされて戦うようになったみたいに、音楽ももうすべてあり、になってきてるんですよ。小説ももちろんそうだと思うんですが。そういうのはロックを聞くと、ほんとによくわかりますね。
――ご執筆中は、音楽をかけていらっしゃるんですか。
貴志 かけていました。「モリタート」をよく聞いたんですが、あまり聞いていると陳腐化しちゃうので、できるだけ我慢して、「ここぞ」というところでかけるという挙に出て(笑)。
――今回物語には登場していないアーティストのヘビロテ曲はなにかありますか?
貴志 やっぱりブリティッシュが好きなんですね、イット・バイツ、“それは噛みつく”というバンド名のグループがあって、これはすごいヘビーローテーションでかけましたね。あとトランス・アトランティック、タンジェント、そういうものはほんとに延々とかけて。エンタメとロックは相性がいいなと思いました。執筆中、音楽をかけないという人はうるさく感じられるかもしれませんが、私は雰囲気が小説と合っていればと全然うるさくないですね。そんなに大音量でかけるわけでもないですし。日本語の歌詞のある曲だけはダメですけどね。言葉ですから、邪魔になってしまうんですね。
――そしてもちろん体験がイコールではないと思うんですけども。というか、体験がイコールのものはほぼないと思うんですけれども、
貴志 それは声を大にして。
――銃を撃ったことはありますか。
貴志 ないんですよね。例えばアメリカに行けば、撃つだけだったら、何の免許もいらないらしいですね。ハワイでも。
――ハワイは客引きがいますもんね。「銃ありますよ」って。
貴志 日本だとそれは絶対だめなんですけどね。もうさわるだけでも書類送検です。だけどまあ、一度撃ってみたいなあというのはありましたね。射撃描写はすべて想像の産物です(笑)。