あらすじ紹介
●原作
「犬と私の10の約束」
川口晴著(文藝春秋)
定価1200円(税込)
 ある日、12歳になったばかりのあかりが学校から帰ってみると、庭の植え込みからヨチヨチ歩きの子犬が出てきました。犬を飼いたがっていたあかりは捕まえようとしますが、電話の音にビックリした子犬はどこかへ姿を隠してしまいます。しかもその電話は、母が倒れ、入院したという父からの知らせでした……。
 慣れない家のことや寂しさに向き合うあかり。へこたれそうになる心を支えてくれたのは、四月に知り合ったギターの上手な男の子、星進くんでした。母のお見舞いに病院へ向かう途中で、ギターを聴いたり、寄り道をしたり、つかの間の心和む時間を過ごします。
 母が入院して数週間、函館の総合病院に勤める医師である父はいつも忙しく、日曜日も仕事。そんな朝、例の子犬がまた庭に現れました。右の前足だけが白く、靴下をはいているように見えるゴールデンレトリバーは、こうして家族の一員に。
 さっそく病院に見せに行くと、
「犬を飼う時は10の約束をしないといけないの」
 と、母は言います。
「私にはあなたしかいません。仲良くして。遊んで。信じて。心があることを忘れないで。
 私が死ぬときはそばにいて。私がずっとあなたを愛していたことを覚えていて……」
 あかりは子犬と10の約束を交わしました。
 その子犬は白い足にちなんでソックスと名づけられ、かけがえのない存在になってゆきます。母が急死した時にも、片時も離れずあかりの悲しみを癒してくれたのはソックスでした。
 しかし、恋をし、将来の目標に夢中になるにつれ、あかりはソックスの存在を邪魔に思い、イラ立ちを覚えるように……。
 ソックスとの10の約束を、あかりは最後まで守れるのでしょうか?
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