── 本で紹介されているのは18のエリアやスポットですが、特に印象に残っている風景は?

伊藤

いろいろありすぎて、どうしよう。
五条大橋のすぐそばにあるカフェ「エフィッシュ」からの眺め、と
三十三間堂の通し矢が行われる所、
それから、法然院。
南禅寺の三門の上からの眺めも素敵でしたね。エフィッシュからの眺め

―― お寺が3つ。

伊藤

お寺というと、構えがちですが、実はかたっくるしくない。必ず拝観しないといけないわけではなく、思い思いに過ごしていいんですよね。他にもお寺や神社を訪ねましたが、見たいように見て、過ごしたいように過ごして、いつもゆるゆるっとしていました。
法然院の写真南禅寺の山門を見上げる伊藤さんの写真

―― 旅だからって、あれもこれも、と欲張ってはいけない?

伊藤

魅力的な町で、行きたいところだらけで、いつもほんとに困ってしまうのですが、じっくり時間をかけたいところは、やっぱりありますよね。
17〜20世紀のヨーロッパの刺繍やレースなどの手仕事の作品を展示した、ユキ・パリスさんの私設ミュージアムは、時間をかければかけるほどいいものに巡り会える気がします。
ガシガシとこなす旅で訪れる場所ではありません。ユキさんと話す伊藤さんの写真

壽ビルも、ゆったりしたい気分の時にでかけたい。
あの独特の空気に包まれたいです。
それに、南禅寺も。
あのお寺、好きなんです。
広々していて、清々しい気分になるし、お庭も素敵。
疏水を歩いて……。
散歩するのに気持ちのいい秋や春先にのんびりと訪れたいですね。

壽ビル1階のショップ店内の写真南禅寺からの眺めを堪能する伊藤さんの写真

―― 取材中の発見などは?

伊藤

本の23ページで紹介しているもみじと苔の絨毯、
26,7ページの軒下の干し柿、
岡崎、東山エリアを回った桜見物、
などなど、歩いていたからこその発見は、いろいろなところにありましたよ。

―― 出会いもいろいろだったのではないでしょうか。

伊藤

毎回、毎回、いい出会いがありました。
挙げていくとキリがないといえばキリがないのですが……
「詩仙堂」の受付の方。
帰り際にお話をうかがっていたら、オガタマというお花くださって。
ものすごくいい香りのするお花のつぼみ。
ちょっとした気遣いが心にしみました。詩仙堂で庭の景色をながめる伊藤さんの写真伊藤さん着物での立ち姿の写真

老舗足袋屋「分銅屋」のおじさんとおばあちゃん。
ひとりで切り盛りしていた「東風」の店主さん。
先斗町の割烹「余志屋」のご主人。おいしかったなぁ。
壽ビルに入っている、子どもの本の専門店「メリーゴーランド」の鈴木さん。
また、本を選んでもらいたい。
などなど、たくさん。

余志屋のご主人と伊藤さんメリーゴーランドの鈴木さんと伊藤さんの写真

[ 2008.11.05 更新 ]

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