── 「てくてく散歩」シリーズの第2弾として『京都てくてくはんなり散歩』が間もなく上梓されますが、今回、京都をテーマにされたのはどうしてですか?

伊藤

京都は、仕事で訪ねる機会もけっこうありましたし、もともと好きで、プライベートでもたびたび行っていたので、なじみがありました。
京都には「観光地」「お寺」「歴史」といったイメージが強いですが、
ちょっと歩いただけで、老舗の菓子屋やこだわりの専門店がいくつもあり、見つけ出す楽しさ、がいっぱいなんですよね。
気がついたら、「えっ、こんなに歩いちゃってた」ってことも、ざら。
町の中央を鴨川が流れていて、憩いの場を提供していたり、まさに散歩するのにうってつけの町だと思って。

―― 昨年の秋から今年の夏にかけて、約10回も京都を訪ねられたそうですが、いかがでしたか。

伊藤

行ってみなければわからないことって、たくさんあるなぁ、というのが第一の感想かな。
季節、季節の京都を体感できたのは、とてもよかったです。
師走の錦市場を覗けば、「新年を迎える準備」がそこにはあって、
伝統や風習、年中行事を大切にする京都の人々の暮らしが伝わってきたり、
真夏の、本当に暑い京都を歩けば、御簾や打ち水など、生活の工夫があちらこちらにあって、智恵だなぁ、と感心したり。みかんの写真伊藤さんのお食事写真

伊藤さんの散歩切り抜き写真

プライベートではなかなか真夏の京都に行こう、と思わなかったけれど、
鴨川の川床や涼しげなお菓子など、夏にしか会えない京都もあるんですよね。
そうそう、野菜もおいしいし。
もちろん、桜や紅葉の時期もきれいですけれど、新緑や雪の京都もそれぞれに風情があります。
本の中でも四季の京都が登場しますので、「へぇ、こんな京都もあるのね」
そう感じてもらえたら嬉しいです。

木々の写真冬の寺の写真

―― 特に思い出深い取材は?

伊藤

上賀茂神社で白馬の神馬(しんめ)ちゃんに会えたこと。
一乗寺界隈を自転車でまわったこと。
新幹線に乗るシーンの撮影も、ドキドキしたなぁ。京都駅の写真

―― 神馬ちゃんは日曜、祝日と、神社の行事の日にしか出舎しないんですよね?

伊藤

そうなんです。しかも、気候や体調によっては休むとも聞いていて……。 訪ねたのがものすごく暑い日だったので、だめかなぁ、と思いながら玉砂利の道を中に進んでいったら、いたんです!神馬ちゃんの写真

うちの娘も他の子どもたちも、ものすごく喜んでましたね。
神馬舎のおばさんもとても優しい、いい人で、子どもだけでなく、大人もニコニコ、いい1日でした。
自転車はレンタルしたのですが、スタッフがそれぞれ自転車に乗って、一乗寺の町をスイスイーって移動しながら取材をして。
あれ、楽しかったなぁ。
新緑のいい時期だったこともあり、気持ちよかったです。
レンタサイクル、おすすめです。サイクリングする伊藤さんの写真

京都駅での撮影は、お盆が近かったこともあり、混んでいて、何度も何度も撮りました。
電車が来ればさら混んできて、当然なのですが、「あー、タイミングが合わなーい」って。
自分たちが乗る予定の時間が刻々と迫ってくるし、他の方の邪魔をしてはいけないしで、ドキドキしっぱなしでした。

[ 2008.10.29 更新 ]

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