INTERVIEW#03
CREA編集部 蟹井 あや
私の入社理由
新しいカルチャーを探しつづけて
もともとはカルチャー誌や文芸誌の編集者になりたいと思っていたのですが、新卒では他業種に就職。5年弱働いてみましたが、常に新しいカルチャーに出合えて、それに触れられるような仕事でないと、自分の性格的にこの先何十年もモチベーションを持って働き続けられないと思ったので転職活動をしました(年齢制限内だったので新卒採用に応募しました)。
なかでも文藝春秋は、良くも悪くも「何でもあり」という印象があり、仕事を通じて、今までに関わったことのない面白い人や作品に出会える機会が多そうで、変化の多い毎日を楽しめるのではないかと思ったので入社を決めました。また、学生の頃に芥川賞の受賞作を古いものから遡って読んでいたので、「芥川賞・直木賞にかかわる会社」という印象も強かったです。
今の仕事
について


現在までの経歴
- 2017.03月 入社
- 2017.04月 週刊文春編集部
- 2017.07月 CREA編集部(取材当時)
- 2020.09月 メディア事業部
東京特集、贈りもの特集、美容特集など、その時々の特集によって、企画書を書き、取材や撮影をし、写真を選び、ページによっては文章を書き……といった数多くの工程に携わります。毎号のファッションページの制作や、SNS用広告の制作などデジタル関連の業務も担当しています。
現在の仕事のやりがい
一番のやりがいは、自分が注目している人の話が聞けることです。普段、「この演劇のテーマは何だったんだろう」とか「この小説の著者って本当はどんな人なんだろう」とか「このお笑い芸人は誰に影響を受けてきたんだろう」などと、暇さえあればずっと考えたり調べたりしているくらいなので、仕事でも面白い人に取材できたり、テキストになったものを真っ先に読めるなんて最高です。告知にも力を入れるので、担当したページに対してSNSなどで反響があると、読みたい人にちゃんと届けられて良かったと思い、ほっとします。
また、他誌や映画のスチール、instagramなどで個人的に注目しているフォトグラファーに撮影を依頼して、素敵な写真があがってきた時もビジュアル誌ならではの楽しさを感じます。
これからの目標
目標というより唯一の希望ですが、カルチャーに携わる仕事をこの先もずっと続けていきたいです。現在はCREAにいるので、CREAのカルチャー面がもっと面白くなるよう日々情報収集して、読者がいつまでも手元に残しておきたいと思うようなページを1ページでも多く作るのが目標です。ゆくゆくは単発のページを作るだけではなく、単行本の企画からメディアでのプロモーションまで著者に提案できるような編集者になりたいと思います。


「CREA」だからこそ
できること
編集部のアイディア次第で何でも特集テーマにできることです。月ごとにガラッとテーマが変わるというスタイルだからこそ、今自分が気になっていることや、まわりの女性たちのムードを汲み取って、たとえば「夜ふかしのすすめ」特集のような意外性のある特集を作ることもできます。また、ファッションページのような女性誌らしい部分もありつつ、一方で小説やエッセイが必ず入っていたり、とにかく情報がみっしりと詰まったページがあったりと、いい意味でムラがあるところもCREAの特色だと思います。
「CREA」の企画の中で、
最も思い出深いもの
2019年11月号の「今、気になるいい男。」特集です。朝井リョウさん&Creepy Nuts DJ松永さん対談、深夜ラジオ企画、EXITのインタビューなどを担当したのですが、とにかく取材が楽しすぎて夢のようでした。自分が「絶対に面白い」と思う人たちに登場してもらうからこそ、その面白さや素晴らしさが最大限に伝わるようにしたかったので、限られたページの中でどんな話題を入れるべきか、どの写真がファンの心に刺さるのか、毎日考え続けていました。
誌面が出来上がった後も、記事を面白がってくれそうなWebメディアに働きかけてニュースにしてもらったり、Webで動画をアップしたり、「広げる」ための工夫もしたおかげで、反響が大きかったことも嬉しかったです。また最近では、ずっと前から好きだったハライチの岩井勇気さんとテレビ東京の佐久間宣行さんの対談を実現できたのも忘れられない思い出です。


1週間の仕事の時間配分

オフの1日
自由に使える時間は、映画、演劇、ライブ、トークイベントなどに可能な限り足を運びます。その合間に本や雑誌を読み、深夜ラジオを聴いて、寝るギリギリまでNetflixやYouTubeを観ています。
文藝春秋を一言で表現するなら
何でもあり
忘れられない一冊

車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』
昔から、アウトサイダーや人間的に欠落している人ばかり出てくるような作品を好んで読んでいたのですが、なかでもこの物語に漂っている、どこにも行けない、窒息しそうな世界観に強く惹かれました。粛々と日々をやり過ごすしかない苦しみや、どこにも属せない孤独、ならず者達の底辺の暮らしが描かれているのに、登場する人々が私にはなぜか皆輝いて見えました。映画でいえば日活ロマンポルノやATG作品の中に存在している、猥雑で生命力あふれる昭和の時代が描かれているのも魅力です。
