贋作・桜庭一樹 日記

2010年01月27日

今日だけ、ゴロゴロしていた。

『伏』にかかりきりだったのですが、ようやく一段落したので、昼から缶チューハイとサイン会でいただいたお酒を飲んで、褒美(?)のカップヌードルを食べ、本読んでました。幸せ……。キリキリと上がっていた眉が別人のように八の字に……。
 明日はその『伏』の打ち合わせです。

 いつも、絵師さんと漫画家さん運がすごくよい(作家としてはとても幸せ〜)と思ってるのですが、今回もものすごく気に入って、毎回、楽しみです。今週も気になる。

2010年02月04日

電撃…。


 本日は『伏』の挿絵をお願いしてる鴻池さん、編集さんとお食事というか壮行会(?)でした。八犬伝なので八人でした。楽しかった!
 担当のフリル王子(今日はニット↑)がおととい結婚してた。おどろき、みな椅子からゴロゴロ転がり落ちました。

2010年02月04日

2月某日

 極寒。
 東京に幾度も雪が降る、いつもよりも寒い冬。
 わたしはというと、ここしばらく、『伏』の原稿を、きりのいいとこまで書いて、二、三日休んで疲れを取って、またつぎのセンテンスをガーッと書き始める、というのをひたすら繰りかえしてる。
 と、そういう、山と山の間の静かな渓谷のような、この日。『伏』の親睦会で、洒落た和食レストランにごはんを食べにいくことになった。
 メンバーは、挿絵画家さん、〈週刊文春〉の編集長、担当のフリル王子など、「八犬伝にちなんで八人!」である。デスクのS尾氏はお仕事で遅れてくるとのことで、まずは七人で始める。
 和食がちょっとずつ運ばれてくる。
 おいしい!
 ゆるやかな談笑が続く。
 ……オヤッ。フリル王子が、今夜は妙に静かである。疲れてるのかな? どうした? でも、顔を見ると黙ってニコニコしている。それに服が、真っ赤なニットで、かわいいお花飾りもたくさんついて、端っこの鉤針編みのところもフリルみたいにヒラヒラしてて、全体に静かだけど晴れ晴れしい。こりゃ、女の子が(いや、男の子だけど)疲れてる朝にクロゼットを開けて「今日は、これかな……」と選ぶ服じゃないよなぁ。
 一皿目。
 二皿目。
 三皿目。
 談笑が続く。
 編集長の芸能界メッタ斬り(これがすごくおもしろい!)のとなりで、王子はずっと静かで、なにやら黙々と飲み、お行儀よくご飯を口に運んでいる。
 四皿目……。
 に、小箱の形をした蓋つきのちいさな器に入った、しゃれた枝豆(金粉がついてる)があった。みんなでワーワーとしゃべっていると、フリル王子が小箱の蓋を開けながら、独り言にしては張りのある、若干おおきめの声で、
フリル王子「おやっ? なんだかエンゲージリングが入ってる箱みたいですねぇ」
編集長「えぇ〜、そうか〜?」
わたし「う〜ん、そうかな〜?」
フリル王子「いやー、ついそんなふうに見えちゃいました。ぼく、じつは、おととい結婚したものですからー」
一同「…………エッ、ナニ!? いまなんて言ったの!?」
フリル「(おっきい声で、滑舌よく)じつはおととい結婚しました!」
一同「ナ、ナ、ナニ!?」

 椅子から転げ落ちんばかりにおどろいた。
 おとといって……。
 びっくりしすぎてみんな静かだったけど、最初に冷静になったのはさすが百戦錬磨の(?)編集長で、エアマイクが見えるようなプロフェッショナルの取材モードで、でもなぜか、
編集長「やっぱり、相手は男装の麗人なのか?」

 って……聞くとこ、そこじゃない!
 みんなで身を乗りだして、出会いからなにからがんばって聞きだす。でも、なにしろたったおとといのことなので、まだデスクのS尾氏にしか教えてなかったらしく、文春の編集さんたちも口をポカンと開けている。
 あれ……。今日ずっと神妙な顔でもの静かだったのは、もしかして、これを発表するベストタイミングを模索してたのかな……?
 しばらくしてその話題が終わったら、フリル王子がまたもや思案顔になり「S尾さん……もうすぐきますかね……」とつぶやく。すると、ほかの編集さんたちもなぜか静かになり、理由はわからないけど、一同、一心にS尾さんを待ち始めた。なんだ、なんだ? S尾さんからもなにかあるのかな……?
 と、ようやくS尾氏がハーハーと肩で息をしつつ現れた。フリル王子の結婚の話題が、さっき枝豆の小箱からこんなふうに始まって、と説明すると、笑顔になり、
S尾氏「おぉ、おもしろいタイミングを探して、おもしろく発表したんだな。えらいぞ!」

 と部下の頭(天使のようなパーマがかかってフワフワしている)を撫ぜ、ねぎらう。
 それからまた談笑していると、なぜか、余所見をしている隙にフリル王子が真っ赤なニットをエイヤと脱いで、半袖のTシャツ一枚になっていた。寒いよ! 外は雪! どうしたの? と思ったら、例の、挿絵画家さんの手になる遠吠えする狼のTシャツだった。
 おぉっ、と思っていると、S尾氏もおもむろにジャケットを脱いだ。ほかの編集さんたちもつぎつぎにジャケットを脱ぎ、ネクタイもはずし、ワイシャツも脱いだ……ら、なんと、全員、狼Tシャツだった。そ、それで、さっきからみんな「S尾さんそろそろかなー」と待ってたのか……!
 と、ここらへんでタイミングよくシメのご飯がきた。
 なにかわからないけど、なにかがパーフェクトだった、この夜。

桜庭一樹読書日記より転載

2010年02月05日

読書日記

 読書日記、更新しましたー。(フリル王子の件は、ぜひとも来月のネタにせんと、先輩の紋別君に追加取材を頼みました……。自分は『伏』の缶詰を続けつつ……)

 それと、ゲストブックにメッセージをくれた「SHURA」とは、中学のときの親友、「修羅」(←女子。わたしはずっと漢字だと思ってたけど……)でしょうか……。よければ東京創元社まで連絡先を教えてください。

2010年02月16日

Mou!

「ひとつの文章の中に“もう”が4個も5個もあるー。削らなきゃ、トルツメ、トルツメ……」という夢を見て魘されてました。夢の中でもなにか書いてた……。
『伏』が佳境です。いま“どう見ても落ち武者”なので、終わったら美容院に!

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