畠屋の『真真事』よみうり 作者 畠中さんのブログです

しゃばけ倶楽部
畠中恵といえば、『しゃばけ』。
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平成十九年 皐月の二
ごーるでんうぃーくも終わりまして、そろそろ夏が先に見えて来る季節となりました。今年の夏は暑くなるようだと、予報をする方々が申されております。暑いのが苦手な畠屋は、今からげんなりとしております。

畠屋の『真真事』よみうり、しばらくの間おつきあいを願いましたが、そろそろ一旦、お開きとなりますようで。
梅雨の後には、麻之助達もまた雑誌に顔を出してきますれば、おつきあい願えますよう、お頼み申し上げます。

あの調子の面々でありますれば、この後、皆はどうなりますことやら。
一つ分かっておりますのは、猫が出てくるという事ででございます。
さて、誰が飼うことになりますのでございましょう。
皆様はいかがお思いになられますか。

それでは、しばしのお休みを頂きまする。

畠屋。
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平成十九年 皐月の一
この度は、『まんまこと』に出ておられる方々に、お好きな食べ物をお聞きしてみたいと思います。
それでは皆様、よろしくお願い致します。

○まず麻之助さんにお聞きします。好物は何でしょうか。
●私は、羊羹ですかね。あ、酒もいける口です。羊羹を肴に、酒を飲むのも悪くないですよ。
○それ本当に……おいしいんですか?
●おとっつぁんが気味悪がって、なかなか一緒には食べられないんですよ。どうして駄目なんだろうなあ。

○次は清十郎さんにお聞きします。
●好きなものねえ。あたしは豆腐なんか、好きですねえ。
やっこを挟んで、綺麗な姉さんと一杯やるなんざ、いいじゃあありませんか。
○目の前に、綺麗なお姉さいないと、いけないんですね?
●勿論! そうじゃないと、豆腐の味が変わっちまいますからねえ。

○さて、吉五郎さんの好物は何でしょうか。
●私は蕎麦が好物なのだ。出先でも簡単に食べられるし、香りも良い。ああ、鮨も好みだな。これまた簡単に腹を満たせるし、手頃な値だ。
○ひょっとして、天ぷらなどもお好きでしょうか?
●よく分かったな。あれは腹持ちがよい。
○吉五郎さんは、お江戸版ふぁーすとふーどがお好きだったようでございます。

畠屋。
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平成十九年 卯月の二

◎引き札でございます。
  畠屋は六月の末頃に、しゃばけシリーズの新しき本、『ちんぷんかん』を出すと事あいなりました。 この度の『ちんぷんかん』には、短編五本が載っております。
皆々様、よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m


この度は、『まんまこと』の先々につきまして、本作に登場の面々に、予測して頂くことになりました。
さて、いかがなる明日が、待っておりましょうや。

○麻之助
そりゃあ、私が活躍して、褒められて、すっきり終わる楽しいお話しがつづくのさね。決まっているじゃあありませんか。
●清十郎
いやあ、人気一番のあたしが、ここいらで『しゅやく』に、成り上がるに違い無いね。何たって、一番格好がいいのは、あたしなんだから。
○吉五郎
何を馬鹿なことを。そろそろ私の出番だと聞いている。いい加減、まともな登場人物の出てくる話がなくては、読み手に飽きられてしまうでな。
●お由有
おなごが活躍いたしますお話しなど、いかがでしょう。
○お寿ず
猫が出てきますのよ。さて、三毛、ぶち、とらの内、どれでしょう。

もしかして聞いてはいけなかったのではと、ちょいと反省しております。
さてさて、先々いかなることになるのでありましょうや。
つづく〜、でございます。

畠屋。
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平成十九年 卯月の二
さて今回のいんたびゅーは、お由有さんのお子、幸太ちゃんにいたしたく思い、
お話し相手になって下さるよう、お願い致しました。

はい? 子供相手だと思って、そんなに赤子にはなすよう、しなくともいいと?
これは失礼しました。
今後は、幸太さんとお呼びすることにいたします。

おや、いんたびゅーの前に、ちょっと聞きたいことがおありとな。
はい、私で答えられますことであれば、お返事しますゆえ、お聞きになってみて下さい。

両国橋河畔に行ったことがあるかと? はい、盛り場でございますれば、
賑やかなことでございました。
はい? 清十郎さんも麻之助さんも、この地で遊んでいる筈なのだが、
さて、どこでどうやって遊んでいるのやら、とんと分からないと?

そう言われましてもねえ。両国橋河畔のことを、あれこれ言ってしまったら、何だか拙い気がしますね。
はい? どうしても聞きたいのですか。参りましたねえ……。
ええと、その、あの、なんですな、うーんの、やれやれの、参ったの……
つまりその。
今回のいんたびゅーは、この辺で終わりとさせて頂きます。

畠屋。
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平成十九年 卯月の一
今回は『まんまこと』いんたびゅーの第三弾と参ります。
登場頂きますのは、麻之助さんのもう一人の悪友、吉五郎さんでございます。
……あれ、何で怒っておいでなのですか?
はい、悪友という言い様が、いかにも拙いとおっしゃるのですね。
成る程、吉五郎さんは同心見習いでおいでだから、諸事、世間様に顔向け出来ぬことは、迷惑だと。
分かりました。以後そう心得ます故、いんたびゅーをよろしくお願い致しします。

○それでは始めまする。まずお名前ですが、相馬吉五郎さんでございますね。同心見習いであられるということは、先々は同心として、お江戸の治安を守るご予定なのであられますか。
●いかにも。私は相馬家へ養子に入った身故、真面目に務めを果たす所存。

○おお、お堅いご返事でございまする。麻之助さんが、おっしゃっておいででした。世間様で言うお堅い御仁は、石橋を叩いて渡るが、吉五郎さんの堅さは並ではない故、叩いた石橋が壊れて、渡ることが出来なくなると。
●あいつの頭も、二、三発叩きたくなる言葉だな。
○仲の良いことでございます。

○ところで、お武家の吉五郎さんと、町名主の家の方とはいえ、町人であるご友人二人とは、どこでお知り合いになったのですか?
●ああ、二人は町の道場へ来ていたのだ。私も当時、同じ道場へ通っておったので、顔を合わせたのだな。

○おお、ではお三方とも、やっとうがお強いのですね。
●麻之助と清十郎は、余り剣には興味が無さそうだったが。ただ、喧嘩は強いな。
○道場のお話しをしていますのに、どうして喧嘩の話になるのですか? はてはて。
●それがしも、何故にあの二人が、ああまで喧嘩が強くなったか、訳を知りたいところだ。
○何か、微妙に話が噛み合っていない気も致しますが……。

どうも悪友お三方のお話しは、やや迷走する癖がありますようで。
はい? 悪友と言うなと。ああ、これは申し訳ございませんでした。
それではこれにて、吉五郎さんのいんたびゅーを、終えさせて頂きます。
うーむ、いんたびゅーとは難しいものでございますね。
何となく、いつも奇妙に話がずれていくものだと、得心いたしました。

畠屋。
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平成十九年 弥生の四
喧嘩の結果(?)『まんまこと』のいんたびゅーは、主役と目されます、高橋麻之助さんからすることとなりました。
では、お話しを聞かせて頂きます。

○お名前は、高橋麻之助さんでよろしゅうございますね?
●ええ、江戸古町名主の跡取り息子です。姉が一人おりますが、もう嫁いでおります。

○背がなかなかに高くておいでですね。
●はい。上背があると、喧嘩のときに便利ですよ。にらみも効きますしね。

○そうですか……。町名主さんは、支配町内で起こったことの、調停をなさると聞いたので、もっと落ち着いた方かと思いましたが、喧嘩ですか。
●何事も、精を出してやるのは、いいことだと思いますが。
○……。

○ところで、親友の清十郎さんと、よく遊びに出かけておいでだと聞きましたが、日頃どんなところで遊んでいるのですか?
●私は両国橋辺りが多いかなあ。清十郎の方は、遊芸のお師匠さんの家へ行ったり、川に舟を浮かべたり。色々みたいですね。
○……一緒に遊んでいるんじゃ、ないんですか?
●表向き、清十郎の都合により、そうなっていることが多いみたいですねえ。私は知らないこともあるんで、時々口裏を合わせるのに、困るんですよ。

○成る程。それで麻之助さんは、両国橋でどんな遊びをしておいでですか?
●このいんたびゅー、うちの父も読みますか?
○多分、町名主さんも、お読みになるでしょう。
●では、お答えします。私は健全な遊びを少しして、さっさと帰っております。はい。
○本当ですか? 怪しいなあ……麻之助さんでした。

畠屋。
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平成十九年 弥生の三
『まんまこと』が、4月の始めに発売されるにあたり、畠屋は話の内でしょっちゅう顔を出します御仁らに、いんたびゅーを試みることにいたしました。
まずは、主役と目されます、江戸古町名主の跡取り、高橋麻之助さんから、お話しを聞かせて頂きます。

はい? ここで、麻之助さんから聞くという順番は、間違っているというご意見が出ました。さてさて、同じく江戸町名主の跡取り息子で、一番おなごにもてる、八木清十郎さんからお話しを聞くのが、正しい順番だと言われるのですね。
そうですか、心得違いをいたしまして、申し訳ありません。
では清十郎さんから……。
はい? これも違うというご意見があるのですか。

なになに、主役を争う三人のいい男の内、一番身分の高い者は、武士で、とんでもなくお堅い同心見習い、相馬吉五郎である。よって、吉五郎さんから先にお話を聞くのが、正しい判断だと言われるのですね。
そうでありますか。そのお考えにも、一理ございましょう。
では、吉五郎さんから……。

お三方、真剣に揉めないで下さいまし。ちゃんと全員からお話しを伺いますから。
……あれまあ止まらない。これは面子の問題なのですね? 参りましたね。
これではいんたびゅーになりません。

分かりました。では、こう致しましょう。お三方の内、
『一番格好の良い殿方から、先にお話しを伺う!』
どうです? 読み手の心を捉えまする、良き提案でございましょう?

あ……喧嘩になりました。
止めて下さいまし。いんたびゅーはどうするんですか。ああ、誰も聞いてはおられないようですね。どうやら今回は、お話しを聞けないようでございます。

しかし、一つだけ分かったことがありました。読者の方にご報告出来ることがありまして、ようございました。
三人とも、喧嘩は強くあられるようです。相手を殴るあの手際の良さ! 間違いなく、喧嘩に慣れておいでですね。
仕方ありませんので、お話しは次回、聞きまする。それでは。

畠屋。
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平成十九年 弥生の二
鳩ぎみ始末、その二でございます

ある日畠屋は、商店街の道で鳩ぎみに、がんを付けられました。
そうして一寸、道端で考え込んだのでございます。
『鳩ぎみと畠屋。雌雄を決する戦いになりましたなら、どちらに利があるであろうか』
難問でございました。

相手は、身の丈が鳴家という妖より一回り程大きいだけの、鳩ぎみにございます。ちょいと思いますに、勝機は人である畠屋にあるに違いございません。
そうでありますれば、人が歩くべき道を塞いで、鳥にあるまじき散歩をしている鳩ぎみに、畠屋はもっと強く出るべきなのかもしれぬのでした。

ですが。このとき、畠屋の耳元で、別の声がしたのでございます。
『鳩ぎみ達は案外と、戦い巧者だ。うっかり戦に持ち込むと、こちらが甚大なる被害を負うことになるぞ』
声は、突然天気が変わり、空から糞が降るかもと申します。
鳩ぎみは、そんな術を使うとが出来ると、言うのです。
『空を飛ぶことが出来る者らは、その術が使えるのだ』

畠屋は申しました。
『人が道を通りましても、何としても、鳩ぎみは飛びたくないのでございます。今更空に舞い上がるとは思えませぬが』
するとこの時、声は笑いを含んで、真実を告げたのでございます。
『鳩ぎみは、飛べぬのではない。相手が人ごときであれば、面倒なので、飛んでどいたりせぬのだ』

畠屋は首を傾げました。人ごときに道を譲らぬと言うのなら、誰になら譲るというのでありましょうか。
その時でございます。鳩ぎみ達が一斉に、駅前の空に舞い上がったのでありました。

畠屋は驚いて、駅前の広場を見たのでございます。そこには、人よりも鳩ぎみよりも、お偉いお方が、おいででございました。
(何と、このお方が一番なのか……)
一番が大好きな妖が聞きましたら、怒る相手やもしれません。
畠屋が見たのは……真っ黒いからす、そのお方だったのでございます。

畠屋。
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平成十九年 弥生の一
鳩ぎみのお話し、一でございます。

弥生の初日、今様お江戸は、いささか冷たい風が吹いておりました。
それでも、もっと暖かければいいとは思わないのは、余りに春めいた日々が続いたせいでございましょうか。

今日畠屋は、両替商に行こうと道を歩いておりましたとき、鳩ぎみとすれ違いました。
青っぽい灰色と申しましょうか、日頃お見かけする、あの鳩ぎみでございます。

狭い商店前の道でありました上、道端に二輪大八車など数多置かれておりました故、鳩ぎみも人も、お互いを避けねば道を行けぬ程でございました。畠屋も、何ぞ蹴飛ばしたりせぬよう、気を遣って歩いておりました。その時でございます。

目の前におあれた鳩ぎみが、いかにも面倒くさそうにぼてぼて歩いて、畠屋を避けたのでございます。
『こらあ二本足、ちゃちゃっと邪魔にならんところへ、行かんかい』
そんな鳩ぎみのお声が、聞こえてくるようでございました。
いかにもこちらを鬱陶しがる仕草で、羽でひゅいと風を切って、先へと歩んで行かれたのでございます。
畠屋は寸の間、呆然とその歩みを見つめておりました。勿論鳩ぎみには、立派な羽が付いておいででございます。

『鳩ぎみ、あなたは何で飛ばないのでございましょうか?』
畠屋は思わず、大きな声で尋ねました。するとで、ございます。

『ちっ、ちっ、ちっ。そんなことしたら、疲れるじゃん』
聞こえてきましたのは、そんな幻聴でございました。
はい、あれは勿論、幻聴に違いございません。絶対にその筈でございます。……そうでございますよねえ。
(つづく、でございます)

畠屋。
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始まり、始まりで、如月の一
『真真事』よみうりでは、始めてお目にかかります。
畠屋こと、畠中恵でございます。
これからこの『真真事』よみうりでも、お目にかかることになるかと思いますれば、『しゃばけ』しりーずの、畠屋の『あじゃれ』よみうり同様、よろしくお願いいたします。

『真真事』は、『まんまこと』読みまして、本のたいとるにも使いました江戸語でございます。本当のこと、真実、などという意味になります。
まこと、字を見れば意味に通じると申しましょうか、漢字は表意文字なのだと、感じ入る言葉でございます。
これから、麻之助始め登場人物達が、己の『真真事』と向き合っていくことと存じます。

畠屋は、読者の方々が読んでどう思われたか、興味津々でございます。時々WEB上などで拝見することがありますと大層嬉しく、参考にさせて頂いておりまする。どうぞ、一筆啓上お願い致しまする。本当に楽しみにしておりますれば。

さてさて、最近畠屋は映画の『こめんと』を書くという、新しいお仕事をいたしました。いえ、畠屋は短く少し書いただけでありますが、封切り前の映画を見せて頂きましたもので、楽しゅうございました。
『蟲師』というその映画は、オダギリジョーさん主演で、大友克洋さん監督という、贅沢で美しいものでございました。

すっかり映画を堪能いたしました畠屋は、それから原作の漫画にはまり、(同じく『蟲師』というたいとるで、面白うございました)他の漫画にも手を伸ばし、しりーずを一度に大人買いして、部屋をせっせと本で埋めている最中でございます。
『へうげもの』も『もやしもん』も、面白うございました。
おりぜー(麹かびでいらっしゃいます)、かわゆくあられます。はい。始まり、始まりで、如月の一

畠屋。
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