登場人物紹介

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石神哲哉 ( いしがみてつや )

   帝都大学理工学部数学科出身だが、家庭の事情で同大学に残れず、高校教員として生計を立てることになった。コンピュータに頼らず、紙と鉛筆だけを頼りに難問に取り組む姿から、学生時代に「ダルマの石神」のあだ名がついた。湯川 学とは同期で、その実力も認めていた。現在は隅田川沿いの私立高校で数学科教員をしており、毎朝<べんてん亭>で弁当を買うのを日課としている。ずんぐりとした体型で、年齢よりも老けて見える外見である。

( 『容疑者Xの献身』 )

花岡靖子 ( はなおかやすこ )

   錦糸町のクラブで働いていたが、雇われママの米沢小代子が<べんてん亭>を開業する際、誘われて従業員に転職した。現在は、江東区森下のアパートで森下南中学校に通う娘・美里と二人暮らしをしている。二度の結婚を経験しており、美里は最初の結婚で授かった子供。二番目の夫である富樫慎二とは五年前に離婚が成立しているが、以降も復縁を迫られるなどして苦しめられていた。石神が自分に好意を抱いていることには薄々気づいている。

( 『容疑者Xの献身』 )

花岡美里 ( はなおかみさと )

   花岡靖子が最初の結婚でもうけた一人娘で、現在は森下南中学校の一年生である。バドミントン部に所属しているため、毎日の帰宅は午後七時を回ってしまうこともある。靖子が水商売を辞めた原因の一つは、思春期を迎える美里の気持ちを慮ったことにあった。かつて義理の父親・富樫慎二と同居していたときには、家で彼と二人きりになることを嫌がるほどに怖れていた。その恐怖心が、今回の事件を引き起こす遠因になったのかもしれない。

( 『容疑者Xの献身』 )

富樫慎二 ( とがししんじ )

   元外車のセールスマン。靖子が赤坂でホステスをしていた八年前に、熱烈なプロポーズで彼女を口説き落として結婚した。だが長年にわたって会社の金を使い込んでいたことが露見し、クビになる。以降は仕事もせずギャンブルに狂い、靖子に暴力を振るうようになった。弁護士が間に入って離婚が成立した後もしつこく靖子たちを追いまわし、復縁を迫ってきた。錦糸町のクラブに靖子が移ってからは、二人の前に顔を出すこともなかったのだが……。

( 『容疑者Xの献身』 )

工藤邦明 ( くどうくにあき )

   <有限会社 ヒカリグラフィック>を経営している。花岡靖子が赤坂でホステスをしていたころからの馴染み客で、錦糸町の<まりあん>に彼女が移った後も常連客として通ってきていた。富樫に遭遇したこともあり、彼が靖子に暴力をふるうことを気にしていた。靖子が<べんてん亭>で働き始めてからは交流が途絶えていたが、富樫の死の後に再会する。そのときには妻に先立たれていたため、靖子との交際について自由な立場に戻っていた。

( 『容疑者Xの献身』 )

森下百合 ( もりしたゆり )

   草薙刑事の実姉。娘の美砂が通っている中学校の文化祭に草薙をビデオ撮影係として召喚したが、その結果、草薙は柿本進一のデスマスクに遭遇した(「転写る」)。口が達者で、草薙はこの姉に口喧嘩で勝ったことがない。また非番の日に草薙を呼び出し、彼女の友人である神崎弥生の夫・俊之の失踪事件を調べさせた(「騒霊ぐ」)。夫は未登場だが、俊平と由里の両親は健在であることが判っており、現在は江戸川区に在住であるという。

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