今月の新刊

  • 『透明な螺旋』の書影

    透明な螺旋

    東野圭吾880円

    誰も知らなかったガリレオの秘密

    千葉・房総沖で男性の銃殺遺体が発見された。警視庁の刑事・草薙と内海が、失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮かび上がってきたーー。シリーズ10作目となる記念碑的作品、ついに文庫化! 巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録

  • 『香君 西から来た少女①』の書影 『香君 西から来た少女②』の書影

    香君 西から来た少女①②

    上橋菜穂子各792円

    植物や昆虫の世界を香りで感じられる15歳の少女は帝都へ

    旧藩王の末裔ゆえ命を狙われた少女アイシャは、オアレ稲で繁栄を極めるウマール帝国へ、そこには香りで万象を知る〈香君〉という活神がいた。植物と昆虫が人々の運命を大きく変えていく壮大な物語が今、開幕!

  • 『ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークⅩⅧ』の書影

    ペットショップ無惨
    池袋ウエストゲートパークⅩⅧ

    石田衣良803円

    累計470万部突破の大人気シリーズ、第18弾

    孤立する女子高生ヤングケアラー、賽銭泥棒の疑いをかけられた外国人労働者、マッチングアプリの闇、そして悪質ペットチェーンの非道な実態……。弱者を食いものにする奴らにマコトとタカシが立ち向かう!

秋100 今年のラインナップ

「人生を変えた」「小説でしか描けない」
担当編集者の熱い推薦文が胸を打つ名作
今年のフェア 迷ったらこの一冊 文春文庫ダブルカバー傑作選

  • 『旅をする木』の書影
    何度でも読み直したくなる

    旅をする木

    星野道夫704円

  • 『風に舞いあがるビニールシート』の書影
    読む人を温かく支えてくれる

    風に舞いあがる
    ビニールシート

    森絵都803円

  • 『テミスの剣』の書影
    締め切り間近に作者が依頼した調査とは?

    テミスの剣

    中山七里847円

  • 『インシテミル』の書影
    徹夜で読み上げた最初の原稿

    インシテミル

    米澤穂信946円

  • 『死体は語る』の書影
    背筋が寒くなるエピソード

    死体は語る

    上野正彦726円

  • 『冬の光』の書影
    直木賞作家の隠れた名作

    冬の光

    篠田節子1012円

  • 『かわいそうだね?』の書影
    心がギュッと締めつけられる

    かわいそうだね?

    綿矢りさ726円

  • 『猫を抱いて象と泳ぐ』の書影
    未来の私を支え続けてくれる

    猫を抱いて象と泳ぐ

    小川洋子814円

まだまだあります 2024年映像化情報

  • 『本心』の書影

    映画化!

    本心

    平野啓一郎979円

    急逝した母をAIで蘇らせた青年。
    愛と孤独の魂の遍歴

    『本心』
    2024年11月8日公開

    監督・脚本:石井裕也
    出演:池松壮亮・三吉彩花・田中裕子 ほか

  • 『烏は主を選ばない』の書影 『烏に単は似合わない』の書影

    アニメ化!

    烏は主を選ばない

    814円

    烏に単は似合わない

    858円

    阿部智里

    謎と陰謀、忠誠と恋ーー
    圧倒的スケールで描く和風ファンタジー

    『烏は主を選ばない』
    NHK Eテレ

    2024年10月より毎週木曜19:20~再放送決定

    ※放送予定は変更の可能性があります

インタビュー

高橋文哉 寄り添える友との出会い

映画「少年と犬」の和正という役柄は、これまで僕の演じてきた役とは少し離れたものだったので、お話をいただいたときは驚きました。瀬々敬久監督やプロデューサーの皆さまから、「誰も見たことがない高橋文哉を表現してほしい」と言っていただき、僕の可能性を信じてもらえたのだと、気持ちが高まりました。
孤独な旅を続ける犬・多聞と出会う人々の人生を描いた小説『少年と犬』での和正は、母親のためとはいえ、悪の道に踏み入ってしまうという、とても哀しい人生を背負っています。第一話「男と犬」の冒頭にこんな場面があるんです。和正がコンビニの前で煙草を吸いながら菓子パンをかじっていると、首輪をつけたまま座り続けている犬の多聞と出会う。和正は金もなければ時間もないのに、いったん店内に戻って、犬用のおやつを買って、多聞にあげるんです。この数行で僕のなかに、和正という人物像が浮かんで、愛おしくなり、「演じることができる」という手ごたえをつかむことができました。
小説は、いろいろなことを想像させてくれます。それを知ったきっかけは、デビュー一年目に、「仮面ライダーゼロワン」に出演したときでした。経験も少なかった僕は、台本を読んで場面をイメージするのが難しかったんです。そのときに小説を読んでみようかな、と考えて、書店で気になったタイトルの本を四、五冊買いこんで読むようになりました。それを続けていると、あるときから本を読めば、文字から映像が浮かぶようになったんです。こんな雰囲気の場所で、これくらいの距離感と表情で、相手と話すんだろうな、というような。そこから本と向き合うことが好きになりました。
台本は、部屋のダイニングテーブルで読むと決めているのですが、文庫本は、温かい珈琲を側に置きながらベランダで読むことが多いですね。お風呂で夢中になって読んでしまって、気が付いたらページがしなしなになったことも……(笑)。想像の世界に浸る時間が心地いいんです。最近、面白かったのは、ツチヤタカユキさんの『笑いのカイブツ』 (文春文庫)です。想像力がとてつもなく刺激される本で驚きました。
映画も小説も、物語はたくさんのことを教えてくれます。今回、映画「少年と犬」を通じて、人と人、人と動物という存在とのかかわり方について、深く考えるようになりました。
多聞を演じてくれた犬の「さくら」と出会えたことも、素晴らしいことでした。さくらは最初、なついてくれなかったんです。長い旅を共有するうちに、朝、握りこぶしを突き出すと、鼻をチョンとタッチしてくれるようになった。気持ちが通じ合った瞬間です。
『少年と犬』は、人間と動物が、「心を理解し、寄り添える存在」になりえることを教えてくれた作品だと思います。みなさんにとどけたい「絆の物語」です。

高橋文哉

2001年3月12日生まれ。2019年「仮面ライダーゼロワン」で俳優デビュー。以降、ドラマ「フェルマーの料理」などに出演。2023年に公開された映画「交換ウソ日記」で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。直近では、ドラマ「伝説の頭 翔」、映画「からかい上手の高木さん」、「ブルーピリオド」に出演。「あの人が消えた」の公開(9/20)も予定されている。

世界20カ国で翻訳版刊行中 感涙の直木賞受賞作

少年と犬

馳星周858円

傷つき悩み、
惑う人々に寄り添っていたのは
一匹の犬だったーー。
人間と犬との温かく、
切ない絆を描く傑作小説

『少年と犬』の書影 映画原作

映画「少年と犬」

2025年春 全国ロードショー
出演:高橋文哉 西野七瀬
原作:馳星周「少年と犬」(文春文庫)
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
配給:東宝