写真:澁谷征司
写真:澁谷征司
島本理生さんの『ファーストラヴ』は映画出演のオファーをいただいてから拝読しました。自分の役柄である由紀の目線で読んでいったのですが、とてもリアルで生々しく、スピード感がある小説だと感じました。ずしんと来る、ある意味ショッキングな内容ですが、読後感は不思議と清々しく重たくない。原作のある役をいただいた時はなるべく読みます。最初にその世界に入った時の感覚は自分の中に覚えておきたいと思っています。
新幹線に乗る前やロケ先でも書店はよく行きます。村上春樹さん、重松清さん、恩田陸さん、湊かなえさん、東野圭吾さん、角田光代さん、奥田英朗さんなど、好きな作家さんの新刊は読む暇がなくてもとりあえず買ってしまいます。書店のレコメンドも参考にして新しい作家さんの本もよく買います。気に入ったらまた好きな作家さんが増えていきます。子供のころは赤川次郎さん、高校生くらいでは『アキハバラ@DEEP』の石田衣良さんを夢中で読みました。原田マハさんのアート小説もほとんど読んでいますが、『キネマの神様』も良かったです。藤沢周平さんの時代小説も好きですね。珍しく女性剣士が主人公の『花のあと』は映画で演じさせていただきました。
時代小説はもちろんですが、現代が舞台のものでも、自分とは違った人格、職業、価値観があることに、本からインスピレーションを受けることが多いです。本を読むことで発見があったり、発想ができたり、想像力が養われる。私はアルバイトや就職活動をしてこなかったので、同年代の女性がどんな生活をしているかというヒントも読書から得ています。
明日の予定がない日は、時間を忘れて空が白くなるまで本を読みます。これから読む本がいっぱいあると幸せです。
1986年8月22日生まれ。
2003年にモデル・女優としてデビュー。
テレビドラマ「太陽と海の教室」「謎解きはディナーのあとで」「HERO」「悪夢ちゃん」「家売るオンナ」「西郷どん」、映画『パラダイス・キス』『スマホを落としただけなのに』など数々の人気作品で 主演・ヒロイン役を務め、2018年には『探偵はBARにいる 3』で第41回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞を獲得。今年も話題作『ドクター・デスの遺産』『約束のネバーランド』へ立て続けに出演、そして2021年2月公開の『ファーストラヴ』(監督:堤幸彦)では、デビュー後初のショートカットで主人公・真壁由紀役に臨む。
川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。
「動機はそちらで見つけてください。」
容疑者・聖山環菜(ひじりやまかんな)の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。
事件を取材する公認心理師・真壁由紀(まかべゆき)は、夫・真壁我聞(まかべがもん)の弟で弁護士の庵野迦葉(あんのかしょう)とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪んでいく中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。
自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底にしまい込んだはずの<ある記憶>と向き合うことになるのだが…。
なぜ、彼女は父を殺さなければならなかったのか? <ファーストラヴ>に隠された事件の真相に、あなたの<愛の記憶>も揺らぎ出す――