物事を分解して理解するのが現代科学の主流です。たとえば、自動車を理解しようとするなら、ハンドルとかエンジンとかパーツ別に分けて、パーツの機能を解明すれば、自動車の全体像もわかるという理屈です。しかし、脳はちがうのではないでしょうか。一部を切り取ってもほかの部位が、その部位の代わりをしてしまうのです。一人の音楽家の演奏を聞くだけでは、オーケストラの全体のシンフォニーがわからないのと同様に、ひとつの神経細胞の活動を記録しただけでは、脳の全体の活動は分からないのです。