★秋元さんからの言葉
さくら苑で撮影をしたのは、かれこれ10年以上も前のことです。伺った当初は、いきなり撮影には入りませんでした。なぜかというと、まず、お年寄りの話に耳を傾けたかったからなのです。カメラを向けられるお年寄りにとっては、得体の知れない人間が急に来て、いぶかしく感じるでしょうし、ましてや、写真を撮られるなんてとんでもない、と思われる方も中にはいらっしゃるでしょう。まずはじっくり話をして、打ち解けてから撮影を始めました。
使ったカメラは、お気に入りの手巻きカメラ。カシャッ、カシャッと、一枚一枚丁寧に、心を込めて撮っていきました。無理に撮ろうとは思っていなかったので、一日何も撮らずに終わるということもありました。
お年寄りから僕にかけられた「ことば」は、ここちよい思いやりのあるものばかりでした。さすが長い人生を経ての知恵袋から出た言葉だなぁと感じたことも多々ありました。最近は核家族化が進み、そんなお年寄りの話をうかがう機会もますますなくなり、もったいないですね。この作品では、人と動物とのふれあいを写真で残すことができましたが、あの日のあの「ことば」は、今も僕の心の奥に刻みこまれています。 |
★高野瀬さんからの言葉
犬や猫と触れ合うお年寄りたちの笑顔は、穏やかで温かく、今までの人生の豊かな時の流れすら感じさせてくれます。
いきなりレンズを向けるのではなく、お年寄りたちの輪の中に入り信頼関係を築いてから撮影するという、秋元良平さんならではの作品の数々をぜひご覧になってください。
疑うこと、裏切ることを知らない動物たちは、いまや“ペット”ではなく人間の素晴らしいパートナーとして認知されてきています。動物たちと暮らすことのたいせつさ、そして高齢期をどう生きるかなど、みなさんが考えるきっかけの一冊になるのではと自負しています。
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●現在のさくら苑では、ラブラドールのアリスとシャム猫のルイの2匹が同居しています。シーズーのチロルは職員の家で生活をしていますが、週5日は苑に来ています。10年前とは状況が違いますが、動物のいるさくら苑は健在です。 |
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