文藝春秋 採用案内2018

ホンネを申せば~内定者座談会

「出版社は狭き門」とよく言われます。志望者のみなさんは、「いつから、どんな対策をしたの?」「採用試験の問題は?」「出版社が求めている素質って何?」などなど、様々な疑問をお持ちのはず。ここでは、文藝春秋に2017年4月入社予定の5人が、期待や不安や焦りや覚悟、様々な感情に溢れた内定までの道程を振り返ります。きっと、みなさんの背中をそっと押してくれるはずです。

Q1出版社を志望した理由を教えてください。

A 就職活動を意識したのは3年生の夏休みです。最初はテレビ業界に興味があったので、夏のインターンシップに応募したのですが、全部落ちてしまって、就活から少し離れたくて後期の大学の授業をたくさん履修したんです。たくさんの先生方と芸術や文化の研究についてじっくりお話しする時間が楽しくて、自分らしくいられたんです。それで研究者とともに仕事がしてみたいと思うようになって、出版社を考えるようになりました。

B 人に対する興味を、本や雑誌で表現する。私にとって、そこが出版の魅力でした。最初はものづくりのメーカーやゼネコンを志望していたのですが、あるゼネコンの懇談会の席上で、「巨大な建物にばかり注目されるけれど、膨大な資材や人員を確保するのがどれだけ大変かを知ってほしい」という社員の方のお話を聞いて、はっとしたんです。そういう様々な仕事に携わる方々の気持ちや苦労を伝え、残していきたい。出版社なら、人への興味とものづくりを両立して、楽しんで仕事ができると思いました。

C 僕は週刊誌が好きだったので、週刊誌の編集部で働きたいと思って志望しました。新聞や広告の会社も視野に入れましたが、人物本位で評価してくれるメディア業界に絞って活動しました。

B 印象に残っているのは、文藝春秋の面接で、「ええと、大学どこだっけ?」と聞かれたこと(笑)。他業種では面接が大学別にされることも多かったので、少なくとも出身大学の名前で先入観を持たず、提出した志望書を読み、実際に会って話をして評価してくれているのだな、と思いました。この点は、私のような文系大学院生にとっては、とても重要です。文系大学院生というだけでESすら見ない会社があると話を聞いていたので。

D 僕は就職留年をしたので、マスコミ以外の業界では門前払いだろうと思っていました。去年は、志望した出版社の全てにご縁がなく、最終的に通信社に内定をいただいたのですが、身近にあった本に強く愛着を感じていたので、記者ではなく、編集者を目指そうと、もう一度チャレンジすることにしたんです。自分の好きなことを職業にしている姿しか想像できなかったし、そうでないと人生面白くないと思いました。なので、なんとかして出版社で働きたい、という思いを強くもって就職活動に臨みました。

E 私は昔から本が好きで、学生時代に書店でバイトもしていました。自然と出版社に行きたいなとは思っていたのですが、いま振り返れば、採用人数の少ない狭き門だし、大学が関西だったので、説明会はもちろん、筆記に作文に面接にと、フローが何度もある選考に身を投じる覚悟が足りませんでした。
 結局、映画配給会社に入社、宣伝の仕事に携わり、目が回るほど忙しい2年間が過ぎ、システム部門に異動しました。定時勤務で休日もあって、大好きな趣味の本や映画を楽しめる時間ができると、自分の将来について、「このままでいいのかな」と考えるようになって……。社内異動はありますし、とりたてて不満があるわけでもなかったのですが、やっぱり出版業界で働きたいという思いが日増しに膨らんで、もう一度チャレンジすることにしたんです。

Q2出版社志望のみなさんが、文藝春秋を知ったきっかけはなんですか。

C なんといっても「週刊文春」です。2016年は様々なスクープ記事が話題になりましたが、政治家でも芸能人でも、思っていたのと全く違う一面があるかもしれないし、社会通念や常識だと思われていることだって裏があるかもしれない。そういう「裏側」を世の中に伝える仕事ができるのは「週刊文春」だと思い、文藝春秋を志望しました。

E 私も祖父母の家で「週刊文春」を読んでいたので、会社名はよく知っていました。純文学が好きで、大学時代は、芥川賞受賞作を遡って読んでいたので、芥川賞、直木賞のイメージも強かったですね。

D 僕も、自分の本棚を見渡したとき、文春文庫が多くて、文芸作品に強い出版社というイメージがありましたね。影響を受けた文芸作品はたくさんあって、文芸編集者として作家と二人三脚で作品づくりをするなら、ここだと思っていました。

B 大学で社会学を研究していて、文春新書はよく目を通していましたが、あるとき、部屋に積み重なった雑誌を整理してみると、野茂英雄、ダルビッシュ有、長谷部誠といったアスリートの特集記事が載った「Number」ばかり出てきたんです。版元を意識せずに買っていたので、自然とこの雑誌に惹かれていたんですね。それで、学芸とスポーツであれば自分でも何かできるかもしれない、と考えて文藝春秋を受けました。

A 私は、ナビサイトで出版社を検索して、自宅の本棚に並んでいた月刊「文藝春秋」と社名が結びつきました。それと、中学生の頃から、自分よりも年上の世代向けの女性誌やカルチャー誌を読むのが趣味だったので、雑誌は相当読んできて、「CREA」も知っていました。今は「STORY」や「&Premium」、「Pen」「POPEYE」をよく読んでいます。自分の将来を予想するのが楽しいんです。

E 読む雑誌を自分でコントロールしたら、自分の将来像が決まってくる気がするよね。私も大学生のときから「CREA」を読んで、「好奇心旺盛で、経済的にも精神的にも自立した女性」に憧れるところがあったなあ。「CREA」は、目先の流行にとらわれないライフスタイルを発信しているところに魅力を感じます。

A 最近では、「大人の少年少女文学。」が面白かったな。誰もが知っているはずの物語を、大人の女性向けに解読するという切り口が独特で、知的な好奇心を刺激されて。それは「文藝春秋」や「文學界」でも同じで、文藝春秋の魅力だと思います。

Q3では、選考について伺います。選考はエントリーシート(入社志望書)の提出に始まり、筆記、作文、面接と約1ヵ月にわたって続きますが、その間、みなさんのエントリーシートは何度も読み返します。手書きで郵送提出という少し手間のかかる方法ですが、いかがでしたか。

C 手書き自体は他の会社でもあったので、あまり抵抗はありませんでしたが、出版に対する自分の思いを言語化することが難しく、対話であればうまく話せるのではないかと割り切っていました。それに、エントリーシートに書き込み過ぎると、志望者に聞きたいことがなくなった面接担当者から突拍子もない質問をされてしどろもどろで撃沈、という体験談を聞いていたので、むしろ面接で質問してもらえるような余地を残して書きました。

一同 へえ~(笑)。

E そこまで戦略的でなかったけれど、面接担当の方がエントリーシートをどの程度読んでくださっているかわからないので、ある特定の話題だけでは、「興味の幅が狭い」などの先入観を持たれてしまうのではないかと心配でした。できるだけ具体的な固有名詞を書き込むことで、そのなかでひとつでも興味を持ってもらえる要素があれば読んでもらえるのではないかと思っていましたね。

B 私もどちらかというと「書き込んでいく派」でしたね。どうすれば面接で話が広がるかを考えると、たとえば、印象に残っている本のタイトルを挙げるぐらいは誰でもできるので、具体的にどの部分の、どの一文が面白かったのかまで書いた方がいい。面接担当者に言わされるのでなく、こちらから話したいことを具体的に書いていました。大学での研究が抽象的な人ほど、気をつけた方がいいと思います。

D そして最も大事なことは「とにかく字を丁寧に書くこと」。去年、今年とエントリーシートを書いた経験から間違いありません(笑)。文藝春秋のエントリーシートで問われることは、「入社してやりたい仕事」や「ここ数年の生活」、「感銘を受けた映画や音楽」など、他の出版社に比べてもかなりオーソドックスです。就職留年した人は、内容をブラッシュアップしながら、なぜ留年したのか、なぜ出版社なのかを明確に書けば、熱意はきっと伝わると思います。

A 私は深く考えずに書いていたなあ……いまのお話をあの頃の私に教えてあげたい(笑)。ただ、書くことは好きだったので、面接してくださるからには楽しんで読んでいただきたくて、大学の教授に読んでいただいたり、家族の意見も聞くようにしていました。

C 僕もとにかく友人に読んでもらいましたね。

B ……それは友達がいるからできるんだよね。学部時代の友人はみんな就職したし、院生で就職する人はほとんどいなくて、新卒専門のハローワークで担当してもらったおじさんが相談相手だったからなあ。

一同 へえ~(笑)。

次は、筆記試験と面接の「攻略法」教えます。