文藝春秋 採用案内2018

社員の本棚

あなたにとって、「本」とはどんな存在ですか。

 出版社の社員にとって、「本」とはまず「作品」であり、「商品」です。でもそれが全てではありません。ひとりの本好きとしては、「なくても生活には困らないけど、読めば毎日がちょっとだけ面白くなるもの」とでも言えるかもしれません。行ったことのない場所に行けたり、一生かかっても経験できないことをあたかも体感できたり。知識を得ることもできれば、「明日も頑張ろう」と前向きになれることもある。読む前に比べて、ほんの少しでも自分が変わっていたら、その本との出会いは幸運なものだったと言えるでしょう。
 ここでは、社員5名に、5つのテーマに沿った「とっておきの本」を棚卸ししてもらいました。本との一期一会の出会いのお手伝いとなれば嬉しいです。

推薦する社員

テーマ1 人生に悩んだら読む本

「BRUTUS」2013年11月1日号特集「あんこ好き。」

「悩む」の対義語は「楽しむ」。僕にとって「楽しむ」は「〝あんこ〟を食す」と同義語。本書の特別付録「あんこDATABOOK」を読み込むと〝あんこの世界〟に浸れる。あ~なんと幸せ。もちろん、僕のお腹もあんこ型。 A

「BRUTUS」2013年11月号特集「あんこ大好き。」

『ともしび・谷間 他七篇』 チェーホフ著/松下裕訳、岩波文庫

本書に収録された「すぐり」は、「幸福とは何か」と熱弁する男の話を、知人2人が上の空で聞く短篇小説。自分にとっての大問題は、傍から見たら退屈な話かも……と思えて、読むと深刻度がどんどん薄まる。シリアスになりすぎないための堰堤的な一冊。 B

『ともしび・谷間 他七篇』

『せいめいのれきし』 バージニア・リー・バートン著/石井桃子訳、真鍋真監修、岩波書店

悩んでいる時はおのずと視野がせまくなるもの。そんな時、バージニア・リー・バートンの絵本『せいめいのれきし』を眺めると、地球に生命が誕生して以来の歴史が芝居仕立てで紹介されていて、射程距離が広くとれます。最近、新版がでました。 C

『せいめいのれきし』

『世界を変えた100日』 ニック・ヤップ著/村田綾子訳、日経ナショナル ジオグラフィック社

2008年刊、19世紀半ばから21世紀初頭までの世界が〝変わった〟特別な100日を切り取った報道写真集。悩みを解消するわけではないですが、世界を揺るがすような出来事とその衝撃の前には、自分の悩みなど大したことない……と思えてくる一冊です。 D

『世界を変えた100日』

『対談 競馬論』 寺山修司・虫明亜呂無、ちくま文庫

競馬好きで読書好きだと必ずといっていいほど、寺山修司の書いた競馬モノを手にする。そのエッセンスがつまっているのは、実は同じく競馬ファンだった虫明氏との対談。「単勝の馬券を買う人は結局、馬券を買うんじゃなくて、自分を買っている」のだそうです。 E

『対談 競馬論』

テーマ2 学生時代に読んでおけばよかった本

『ふつうな私のゆるゆる作家生活』 益田ミリ著、文春文庫

作家にとって好ましい編集者像が、視点は鋭く、ほのぼのしたタッチで描かれているコミックエッセイ。学生時代、「編集者になりたい」と思えど、具体的に何をする職業なのか、よく分かっていなかった。エントリーシートを書く前に読んでおけばよかったと後悔。 B

『ふつうな私のゆるゆる作家生活』

『青春漂流』 立花隆著、講談社文庫

命と青春を懸けて何かに挑む11人の若者たちのドキュメント。読むたびに熱量に圧倒され瞠目してしまう。著者いわく「一見いかに成功し、いかに幸せに見えても、それがその人の望んだ人生でなければ、その人は悔恨から逃れることができない」。 A

『青春漂流』

『アレクサンドリア四重奏』 ロレンス・ダレル著/高松雄一訳、河出書房新社

この本は、わたしの学生時代には絶版でした。長大な作品なので英語に手が出ず、読みたいなあと思いながら、幾星霜。2007年に新訳版が刊行され、喜んで4冊のシリーズを買ったのですが……いまだに読めていません。ああ、学生時代の時間をいま使えれば……。 C

『アレキサンドリア四重奏』

『ウォール街のランダム・ウォーカー』 バートン・マルキール著/井手正介訳、原著第11版、日本経済新聞出版社

1973年刊、「投資のバイブル」とも呼ばれるロングセラー。学生時代には、なかなか経済とか金融を学ぶ機会もなかったですし、リテラシーは身につきませんでした。が、基礎知識を知ることは仕事の上でも、私生活の上でも必要なこと。社会人になって失敗しないためにも、一読をおすすめします。 D

『ウォール街のランダム・ウォーカー』

『やちまた』 足立巻一著、中公文庫

本居宣長の長男春庭の伝記……と思いきや、なにかが違う。読み進めていくといつの間にやら、春庭の軌跡を追いかける足立巻一の執念の方に心が奪われ始めるのだ。最近、文庫で再刊されたので。 E

『やちまた』

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