文藝春秋 採用案内2018

「週刊文春」若手記者の1週間を密着撮!

どんな記事にも核となる重要証言が必要だ。キーマンを探し出し、証言を引き出す。毎週訪れる、週刊誌記者としての真価が問われる瞬間。そして、えも言われぬ高揚感に包まれるとき。記者Xの取材が大詰めを迎える。

月曜日

恋焦がれた待ち人来たりて、重要証言入手!

13:00対面取材

 音楽評論家に都内のカフェで対面取材。「第九は年末の風物詩」という説明を受ける。第九コンサートを知らない人も含めて多くの読者に伝わるように、その豪華さや歴史、業界での位置づけなどを質問。取材では、読者にとってわかりやすい記事にするため、わからないことやディテールにこだわって、お話を聞くようにしています。

16:00「データ原稿」作り

 編集部に戻り、各所で聞いてきた取材内容を文字に起こします。カキ担当記者に要点が伝わるデータ原稿を作ることが、アシ記者の大事な仕事。アシであっても、聞いた内容をどのように記事の中で使うかを考えることが、将来、カキとして執筆する際に必要な全体を見る目を養うことになる。先輩からはそう教えられました。

19:00裏取り取材

 裏取りのため、ご近所の迷惑にならないよう気を付けながら、N響関係者宅で待つ……も、取材対象なかなか現れず。なんだろう、この感情、これが恋かも……などと冗談を独り言。苦笑いしつつ時計を見るも5分も経っていない……。そんなもどかしい時間が過ぎていきます。

24:00取材対象帰宅

 待ち人来る! NHKホールで舛添氏を見たとの重要証言を得ることができました。

6.その頃、カキ担当記者は?

 アシ記者が詰めの取材に奮闘している頃、カキ担当は取材班の各記者が取材してきた内容を集め、担当デスクと相談しながら取捨選択し、最終的な記事の内容を決めます。分量が確定したら、いざ執筆。この数日間の成果を原稿へと落とし込んでいきます。執筆場所は編集部のこともあれば、自宅でという人もいますし、時には出張先のホテルでということもあります。翌火曜日の早朝までに原稿を仕上げて、担当デスクのチェックに回せば、ひとまず終了。しばし仮眠し、最後の1日に備えます。

火曜日

直撃は週刊誌記者の華。そして校了へ。

5:30舛添氏直撃準備

 舛添氏に事の真偽を確認すべく、自宅に向かいます。今回の取材では、舛添氏に直接聞くことができるのはこの瞬間のみ。本人が在宅なのか不安になりながらも、じっと家の前で待ちます。※写真はイメージです。

8:00舛添氏直撃

 舛添氏を自宅前で直撃。数日間、ずっと考え続けてきたご本人と対面すると、さすがに緊張しますが、チャンスは一瞬なので、ひるむことなく声をかけます。しかしSPに阻まれ、声をかけるのみで返答はありませんでした。

9:30東京都庁へ質問書送付

 編集部に戻り、東京都庁に事の真偽を問うため、質問書をFAXで送ります。

13:00校了作業

 昼前後には、原稿がゲラとなって出てきます。

7.ゲラが出たら、あと一歩!

 編集部内でチェック用に使われるゲラ。校正用に印刷されたもので、実際の誌面の体裁で原稿や写真などが組まれています。見出しや文字組みの調整、原稿や写真の差し替えなどを行います。同時に、校閲部からの指摘(誤字、事実誤認)を検討し、取材班全員で目を皿にして読みます。

夕方~夜校了

 お疲れさまでした!

21:00会食

 飲み屋でスポーツ紙記者と会食。プロ野球選手のベンチ裏の話から、夏のリオ五輪で活躍しそうなあの選手の話などなど、いろいろ教えてもらいました。
 会う人によって話もそれぞれ違います。今日会う人が最近どんなことをしていたのか、どんな話が聞けそうかをイメージしていつも話を聞くようにしていますが、お酒を飲んでいるうちに、話は全然関係ない方向に(笑)。そんな話の中にもネタのヒントがあったりして、また話が盛り上がり……夜は更けていきます(お酒が飲めなくても心配無用です。深いネタを持ってくる下戸の先輩はいますから)。大丈夫、明日(水曜日)は休みだ!(※注)
 こうした(?)積み重ねが世の中をあっと驚かすスクープにつながると信じています!

(※注)採用担当者から補足
「週刊文春」編集部は週休2日制ですが、今回ご紹介した記者Xのように、仕事の状況によっては2日間休むのが難しい場合もあります。そのかわりとして、5月の連休、お盆、年末年始には合併号を出すことで1号休み、それぞれ1週間程度の休暇を設けています。

8.後日談:不当利用が認められた!

 N響コンサートへの公用車でのおでかけ分の費用について、都が「不当利用」として、舛添氏に返還請求。少ない金額ではありますが、都に返還されることになりました。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016083000564&g=pol
 自分の関わった記事で、遠い存在だった政治、行政に変化が起きる。この仕事のダイナミックさ、スケールの大きさを実感させられた取材でした。