文藝春秋 採用案内2018

文春文庫部

読み継がれる名作から文庫オリジナルまで 常に読者の〝掌の1冊〟を目指して
文藝春秋BOOKS

担当者が選ぶ2016イチオシ企画

大ヒットシリーズを売り伸ばす企画発信

 文春文庫でこの一年、驚異的に部数が伸びた作品といえば阿部智里さんの〝八咫烏シリーズ〟です。人間の代わりに八咫烏の一族が支配する世界を舞台にしたシリーズは、一作ごとに趣を変え、読む人を虜にし、現在シリーズ累計60万部を突破。時代小説に強いレーベルという文春文庫のイメージをがらりと変える和風ファンタジーの送り手は史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞しデビューした新鋭。その売れ方にも注目が集まり、各紙誌にも紹介されました。ツイッターアカウントを開設したり、書店さんのPOPコンテストを開催したり、グッズを作ったりと、作品を盛り上げる企画を続々発信し、大きな反響を呼びました。(担当:Y) すでに文庫化された『烏に単は似合わない』(第1作)、『烏は主を選ばない』(第2作)、『黄金の烏』(第3作)を含め、シリーズは第5作まで刊行。1作ごとに全く異なる仕掛けで読者を魅了中。

志望者のみなさんへ

文庫は各社がしのぎを削る主戦場です

 文庫編集部は、出版社の総合力が最も問われる部署です。文藝、ノンフィクション、ビジュアルとあらゆる分野にわたって、雑誌で連載したり、単行本で刊行してきた作品の、最終形態が文庫になっていきます。
 東野圭吾さんの「ガリレオ」、池井戸潤さんの「半沢直樹」、石田衣良さんの「IWGP」など、文庫の人気シリーズは小説誌の連載から生まれたものですし、週刊文春の長寿連載である林真理子さんや宮藤官九郎さんのエッセイも安定した人気があります。

 かつては自社で売れた単行本をそのまま手軽に文庫にすればいいと牧歌的に思われていた文庫市場ですが、今や各社が最もしのぎを削る主戦場です。文春文庫は毎月約20点を刊行していますが、自社本の文庫化はもはや半数くらい。自社だけでなく、他社の書籍にも目配りをし、売れる可能性を持つ本を文庫化するのには、企画力と瞬発力が必要です。

 また、ここ数年の〈文庫書下ろし〉分野の台頭には目を見張るものがあります。時代小説、ミステリ、青春小説――様々な分野の書下ろしでヒットが生まれ、シリーズ化されます。
 最近ではキャラクター文芸のジャンルのベストセラー作家七月隆文さんの『天使は奇跡を希う』や竹宮ゆゆこさんの『あしたはひとりにしてくれ』などの新刊も文庫オリジナルで刊行しました。

 文庫編集者は今や、待っているだけでなく、これはという著者にはすぐ接触するフットワークの軽さと、あきらめずに新作を書いてもらえるように粘り強く交渉する能力も求められています。
 星野源さんのエッセイ集『そして生活はつづく』は、文筆家としてはまだ知られていなかった頃から永年彼にアプローチしていたBさんが獲得してくれ、当時はおっかなびっくりだった営業部も驚くほどの増刷を重ねました。
 各ミステリベストテンや本屋大賞まで総なめにしたルメートルの『その女アレックス』は編集部N君がお嬢さんが読んでいた別の本から興味を持って版権を獲得し、結果的にシリーズ累計100万部という、翻訳ものとしては異例の大ベストセラーになりました。面白そうなもの、売れそうなものに全方位的にアンテナをたて、それを具体的な形にしていける好奇心旺盛で体力とガッツのある仲間を待っています!

文春文庫部長
花田朋子

  1年目 出版局第三出版部
10年目 「別冊文藝春秋」編集部
20年目 「別冊文藝春秋」編集長
2014年から現職