文藝春秋 採用案内2018

ノンフィクション出版部

対象は「文藝出版で扱う作品以外」。 社会の「事実」を、広く、深く追い続ける
文藝春秋BOOKS

担当者が選ぶ2016イチオシ企画

『「南京事件」を調査せよ』(8月刊)

 雑誌記者時代から「桶川ストーカー事件」はじめ数々のスクープをものしてきた著者・清水潔さんは、2015年、調査報道の手法で南京事件に迫ったドキュメンタリー番組に携わりました。本書はその書籍版。刊行直後から大きな話題を呼んでいます。冒頭に引用された「俺にとっては右派も左派もない あるのは真実か真実でないかということだけだ」というボブ・ディランの言葉がまさにぴったりな一冊です。(担当:O)

志望者のみなさんへ

「編集者」に向いている人の三つの条件

 自分はどんな職業に向いているのか――日々悩まれていることでしょう。自分の20代初めを振り返っても心当たりがありますし、正直いって何が自分にふさわしい職業なのか、当時はまったく思いつかない毎日でした。
 そんな自分が30年以上もひとつの会社に勤め続けているのですから、おそらく「編集者向き」だったのでしょう。それを前提に皆さんに「どんなひとがコンテンツをつくることを生業とする編集者向きなのか」、三点に絞って示してみたいと思います。

 まず第一に調べるのが大好きなことです。あらゆるノンフィクションに共通するのは取材で成り立っていること。ジャンルは問いません。経済でも政治でも、芸能、科学、文学、スポーツ、ジャンルはなんでもいいですから、読者の代わりに調べていく。そうしたことが心の底から好きなひとがジャーナリストに向いている。
 次は、人付き合いが上手なこと。ひとと会うのが苦手なひとは止めておいたほうがいいでしょう。私自身、それほど人間関係をつくるのがうまいとは言えませんが、それでも名刺は一万二〇〇〇枚ほどあり、俗にいう偉いひとから文化人、タレント、果てはヤクザ、犯罪者まで多くのひとと会うことができた。これが最大の財産です。その人々に原稿を書いていただいたり、情報をいただいたり、取材を助けていただいて記事をつくってきました。人脈はコンテンツ作りの原料ですね。
 最後は、単純ですが、本を読むのが好きであることです。これはノンフィクションだけでなく出来れば文芸やハウツー本など乱読派がいいように思います。それは興味の幅が広いこと、思考に柔軟性があることに繋がるからです。単に移り気ということかもしれませんが、取材対象が多岐にわたる以上、浮気性の方のほうが向いているように感じます。

 以上、三つのポイントを示しましたが、すべて揃う必要はありません。ひとつでも当てはまれば大丈夫です。この仕事の醍醐味は「明日、何をやっているか、皆目わからないこと」。たとえば、カイロの灼熱のピラミッド前で着物を着た美女を撮影した翌週、北海道で粉雪の舞うなか、演習中の自衛隊戦車に乗る取材をすることなど、日常茶飯事なのです。こんな毎日を心底愉しいなあと思えるひとを待っています。

ノンフィクション編集局長
鈴木洋嗣

  1年目 「オール讀物」編集部
10年目 「文藝春秋」編集部
20年目 同上 2013年から現職