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(いしだ・いら)
一九六〇年東京都生まれ。成蹊大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、コピーライターに。『池袋ウエストゲートパーク』でオール讀物推理小説新人賞、『4TEEN』で第百二十九回直木賞受賞。近刊に『愛がいない部屋』。
(しゅかわ・みなと)
一九六三年大阪市生まれ。慶応大学文学部卒。出版社勤務を経て文筆業に。「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞、『花まんま』で第百三十三回直木賞受賞。近刊に『かたみ歌』がある。
朱川
石田さんの『池袋ウエストゲートパーク』がシリーズ化されて、今や文庫が百万部突破だそうですね。改めて、おめでとうございます。
石田
いやあ、そんなかしこまって言われると恥ずかしいから、やめましょうよ(笑)。朱川さんに初めてお目にかかったのは、「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞された直後の、推理作家協会のパーティーでしたよね。
朱川
そうですね。初対面でも非常に気さくに話してくださって嬉しかったです。
石田
朱川さんとは、同じオール讀物推理小説新人賞でデビューした者同士として、とっても親近感があったんです。あの新人賞は、受賞してもその後、なかなか生き残るのがむずかしいでしょう。「オール讀物」っていう雑誌は歴史があるから、ベテランの作家の方々で席が埋まって、なかなか新人が入る隙がない。でも朱川さんは、受賞後もどんどんつづけて書かれた。すごいよね。
朱川
石田さんのほうこそ、『池袋ウエストゲートパーク』で受賞されて、すぐに第二作につながったでしょう。
石田
あれは春、夏、秋、冬と一年に四本書いているんですが、最初の頃は書いていてほんとうに楽しかったなあ。
朱川
今でも楽しいでしょう?
石田
ちょっとつらい(笑)。でも、意外にネタが尽きないし、面白い事件が目の前で起きれば、それを書くという感じですから、そういう意味では、自分がいちばん楽しんでいるんでしょうね。
朱川
取材はかなりなさるんですか?
石田
そうでもないんです。その回に登場する場所、たとえば西口の芸術劇場とかキャバクラなんかを写真に撮りに行くくらいで、あとはちょっと資料を読んだりして、想像でつくっていく感じですね。
朱川
本を読んでから池袋に行くと、やっぱり景色が違って見えますね。
石田
そうですか。先日も「ウエストゲートパーク」のフランス語訳が出て、その取材を受けたんですが、インタビュアーが、「明日西口公園に行くんだけど、そんなに怖いところなの?」って(笑)。
朱川
いや、むしろ本のおかげで池袋という町が、すごくかっこいいイメージになったんじゃないかなあ。石田さんご自身は池袋にはよく行かれてたんですか?
石田
そうでもないんです。小説を書き始めたころ、僕の事務所が市谷にあって、有楽町線の駅から歩いて一、二分のところだったんです。お堀を渡ってJRで新宿に行くよりは、地下鉄で池袋に出るほうが便利だったんですよ。本やCDを買いに行ったり、改装前の文芸坐で日本映画の特集を観たり――。
朱川
そうですか。僕も池袋には映画をよく観に行っていましたよ。僕の場合は、オールナイトの怪獣映画だったんですけど。ここに二人の大きな分かれ道がある(笑)。
石田
オールナイトで怪獣映画やる映画館ってどっちのほうにあるんですか。
朱川
サンシャインの並びにあったんですよ。ウェンディーズの前なんです。
石田
ああ、はいはい。わかります。
朱川
で、あそこでハンバーガーを一個買ってゴジラを観つつ食べるわけですよ。
石田 でも怪獣映画ってさ、映画館で観ると全然味が違って、楽しいんですよね。
シリーズの魅力的なキャラクター
朱川
「ウエストゲートパーク」は脇役に至るまでキャラクターがみんな魅力的ですよね。どんな風につくるんですか?
石田
それはね、たとえば朱川さんでつくるんですよ。朱川さんをベースにして、そこにまったく対照的な人物を二、三人くっつけたり、その人らしくない部分を膨らませたりしてね。あとは、どんな脇役にも必ず感情的なピークをつくってあげることかな。キャラクターが内側から破れるような、抑えていた感情が溢れるような、そういうピークを必ず一個つくってあげる。それをほんの脇役にでもやってあげるというのが大事なことだと思うんです。小説の中には、ただこの情報を渡してくれるだけでいいという役どころもありますよね。でも僕は、そういう役の人までかっちりつくるのが楽しいんです。だって、こちら現実の世界では、僕らはみんな、それぞれの人生の主役であって、脇役の人なんていないんですから。
朱川
いい話ですね。でも、これは僕の勝手な思い込みですけど、おそらく書いてらっしゃるときは、ほとんど感覚でそのへん処理なさってるでしょう。
石田
そうです。
朱川
石田さん、きっと原稿書くのがすごく早いんだろうなあ。僕なんかわりと行きつ戻りつ書くタチなんで、ここまで書いてまたあそこに戻ってと、効率の悪い書き方をしてますからね。
石田
え、じゃ、一直線に書くんじゃなくて、書いてからまた戻って、そこをまたもう一回書いたりするんですか。
朱川
その日一日で全部書けちゃえばいいですけど、今日はここまでってやめるじゃないですか。で、次の日に前の日書いたところを読み直すと、またガーッと直したくなる。
石田
たとえば『花まんま』だと、一篇五十枚ぐらいでしょう。それを何日ぐらいで書きます?
朱川
書くことの内容が見えてれば早いですけど。そうですね、五十枚だと二日ないし三日ですかね。僕は石田さんのようなスピードでは書けませんから。
石田
いや、僕だってそんなものですよ。ひどいときは一晩で九十枚というときもあるけど、もうそういうのはやめにしたいな。
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