勝間和代さんプロフィール

「私の人生がドラマティックに変わりはじめた時」

※「本の話」2009年3月号に掲載されたインタビューです。

「本の話」2009年3月号

――昨年来、メディアでも書店の店頭でも、勝間さんの写真を見ないことがないぐらいのご活躍でした。

勝間公認会計士や経済評論家としての本業に加え、3人の娘の子育てに、大学院の博士課程の研究の日々を過ごしています。
それに加えて、「サキヨミLIVE」(フジテレビ系)や「マーケットウィナーズ」(BSジャパン)といったテレビ番組のレギュラー出演や本の執筆、講演会なども行なっています。
また、チャリティ活動として、本の印税の20パーセントを被災地や戦争国の難民・子どもたちの自立援助のために寄付する「Chabo!」にも取り組んでいます。その一環として、昨年11月には2週間ほど、寄付先であるアフリカのスーダンを訪問してきました。

――時間がいくらあっても足りないでしょう?

勝間いいえ。そんなことはありません。仕事以外でも、週3回はスポーツクラブで汗を流しますし、週1回のネイルサロン通いもあいかわらずです。
実際、雑誌の企画などで対談相手とスケジュール調整をすると、いつも私の方が時間に余裕があるんです。

――それだけのアウトプットをしながら、なおかつ時間に余裕があるとは、影武者でもいるんじゃないですか(笑)。

勝間秘訣があるんですよ。

――ぜひ教えてください。

勝間とにかく「断る」ことです。

――あれだけ活躍なさっていて、それは冗談でしょう(笑)。

勝間いえいえ。今、私のもとには連日、講演や取材依頼が来ています。1週間あたり、講演依頼は20件、取材依頼は15件ぐらいになります。
でも私には本業がありますから、8割から9割の依頼は断らざるを得ません。これだけ断っても「出まくっている」という印象が強いのは、引き受けたものに対して、できる限りの効果を出すべく、努力を惜しまないからです。
10パーセントの仕事に対してベストを尽くすことで、新しいオファーが出てきて、そこでさらに自分の力を発揮できるオファーをそこから10パーセント選ぶ、という好循環が生れるのです。
私も皆さんも、使える時間は1日24時間しかありませんよね。その範囲内で、断るべきものはすべて断り、残りの「断らなかった仕事」、すなわち「厳選した仕事」に力を注ぎ込むんです。
そうすると自然にアウトプットの品質は上がり、時間にも余裕が持てます。

過重労働を断れなかった末の“自殺願望”

――やはり、勝間さんだからこそ「断る力」があるのであって、私たち一般人はなかなか断れません。

勝間私も以前は、皆さんと同じく、「断る力」などまったくありませんでした。上司から言われたことを実に素直に、淡々と実行してばかりでした。
周りからは「究極の優等生」と揶揄されながらも、長時間労働をただ黙々とこなし、クライアントや理不尽な上司の言うことに振り回され、その結果、十二指腸潰瘍やメニエール病も患いました。週末の終業間際に舞い込んできたクライアントの依頼を、救急車を呼んでもおかしくないような胃痛に悩まされながら、徹夜で仕上げたこともあります。
そんな過重労働に悩み苦しんだコンサルタント時代、自殺願望がなかったといえばウソになります。駅から会社まで、急な坂道を登りながら、「ああ、ここで倒れたり、手首を切ったりするとラクになるんだろうな」と思いつめたことが何度もありました。
当時は睡眠時間もロクにとれず、土日返上で仕事をする日々だったので、ウツ病に近かったのかもしれません。



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