-
沢村校長の晩年
佐藤愛子
本当の自分は小うるさい小心者であることを、彼はよく知っていた
-
笹の雪
乙川優三郎
出奔した夫との逢瀬を重ねる喜佐、その休らいにも限界があった
-
虹の向こう岸
重松 清
旅先から妻のもとに戻った直後、明日香からの電話が鳴った
-
すれ違う女(ひと)
松井今朝子
円朝の子を産んだあの美しい女のことをお話しましょうか
-
夜の空隙を埋める
森 絵都
怒りに任せて街を彷徨う私たち。人生の欠片が姿をあらわす
-
隠(こも)り沼(ぬ)の
皆川博子
母に疎まれて育った少女は、ある男の妻になったのだが…
-
追い込み
高橋克彦
寝込みを突然襲われた蘭陽。命を狙った相手は一体何者?
-
えじこ
西木正明
盆の中日に降りてきた亡夫の霊はとんでもないことを──
-
カンカン軒怪異譚
朱川湊人
日暮里東口の中華屋。あの時おばちゃんが俺にくれたもの
-
会津からの客
海老沢泰久
聖天の藤兵衛が連れてきた青年は失踪した父親を探していた
-
小二郎の直刀
津本 陽
その才気は龍馬にも愛された──陸奥宗光、幕末の青春
-
花火のあとで
伊集院静
黄昏の浅草。過去をもつふたりの女に隅田の花火がせつなく映る
-
てんとう虫の遍歴
熊谷達也
昭和四十年代の東北にモータリゼーションの波が押し寄せて
-
海を見に行く
阿刀田高
佐渡への旅で迎えた初めての夜。その時、彼女が何かを呟いた
-
章邯
宮城谷昌光
秦を滅ぼさんとする周文の軍との函谷関を挟んだ過酷な攻防