浅田次郎*インセクト
大学は閉鎖、新宿の喫茶店でアルバイトする孤独な青年の心の友は
阿刀田高*カルメンお艶(つう)
プラハで読んだ谷崎潤一郎はオペラ「カルメン」と出会い、変容する
海老沢泰久*無用庵隠居修行
妻を亡くした直参旗本の日向半兵衛。五十歳を超え隠居を画策する
大岡 玲*母恋い
ボケた母が詐欺商法に騙され、振り回された吉村に新たな電話が
重松 清*川湯にて/どきどき
父親が家を出た。「捨てられた」母親と少年は温泉で正月を迎えて
朱川湊人*林檎の木の下で
愚鈍だった母に辛くあたった父が死んだ後、奇妙な出来事が起き…
大道珠貴
*目を合わせないで下さい
猿に襲われた八重さんのいつものようでどこかちがう奇妙な日常
高橋義夫*地吹雪街道
奏者番が一服盛られ、鬼は猛吹雪の中、馬橇で医者を呼びに行くが |
出久根達郎*おんな梅
生活苦のため萩の舎を離れた一葉だが、中島歌子に呼び戻される
藤堂志津子*あらくれ
母との不和、恋人との死別…海沿いの町で独り生きる女の乾いた日常
中村彰彦*さらば、そうせい公
維新の栄光の陰で、長州存亡の危機を自らの命で救った男の不運
花村萬月*黒に似た白
夜の高速をジムニーで疾駆する情さんと私。闇と雪が二人を包む
藤沢 周*迦楼羅(カルラ)
人間達の愚かな行状を鳥瞰する冷ややかな眼。俺は六国見山の鴉だ
皆川博子*紅(あか)い鞋(くつ)
中国の租界で出会ったある少女。その足は布の履物に包まれていた
村松友視*武蔵野倶楽部
今夜も吉祥寺の古いジャズバーに、どこかに謎を抱えた客が集う
山田詠美*紙魚(しみ)的一生
知性のある男をつかんだはずが、知識だけの本の虫だったとは!
連城三紀彦*さい涯(は)てまで
「北の果てまで行って、別れよう」不倫に陥った二人の旅の顛末は |