居酒屋おくのほそ道:メニュー

太田和彦さん写真

第六回 盛岡第六回 盛岡

岩手銀行(旧盛岡銀行本店)
岩手銀行(旧盛岡銀行本店)
 盛岡の飲み屋街は、大通り・菜園あたり、櫻山神社の門前、中津川・中ノ橋を渡った八幡町の三ヶ所。大通り・菜園は新しい店のそろう一番にぎやかなところ。盛岡八幡宮門前の八幡町は古い風情に味わいがあるが、いきなりはやや入りにくいかもしれない。
 おすすめは城趾にある櫻山神社門前に木造二階建てが密集する横丁だ。どこも安心できて入りやすいが、「櫻山参道人情商店街」という、すべての店を網羅した立派なパンフレットができたので、まず駅かホテルで手に入れて、実際に歩いてみるとよい。おすすめは「居酒屋おくのほそ道」で書いた「MASS」「茶の間」「櫻山ブドウ園」、焼鳥「中津川」もよい仕事の店。仙台の東一連鎖街なきあと、日本一の飲み屋横丁と断言する。
 八幡町は入口に近い「とらや」が、地方の地元の人が通う居酒屋の風情を存分に味わえる。体格のよい、ただし恥ずかしがり屋のおかみさんも最高だ。大通り・菜園はバーが粒ぞろいで「バロン」「バー佐藤」「バッカス」「アルセーヌ・ルパン」「ニッカ亭」などそれぞれの個性をもつ。
 また盛岡は喫茶店文化の町。私が朝は必ず行く「六分儀」や蔵造りの「車門」、「クラムポン」「可否館」「紅茶の店しゅん」などこちらも個性を競う。
 しかし盛岡の一番のおすすめは、朝の中津川散歩だ。爽やかな山の風、せせらぎの音、人を恐れない鴨や白鳥と、自然と都会がこれほど馴染んでいる町を知らない。そこにに滞在して、散歩したり、お茶を飲んだり、酒を飲んだりすること自体が楽しい町は、西の京都、東の盛岡で決まりだ。(太田和彦)

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