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芭蕉名句選

鶴岡

五月雨をあつめて早し最上川

(さみだれを     あつめてはやし     もがみがわ)

 <最上川はみちのくより出て、山形を水上とす。ごてん・はやぶさなど云、おそろしき難所あり>と芭蕉が書いた最上川は、球磨川や富士川とならび「日本三大急流」と称される。治水工事が行きとどいた現在では急流のおもかげには薄いが、両岸をうっそうとした緑に覆われ、<白糸の瀧は、青葉の隙ひまに落ちて、仙人堂岸に臨で立つ>風景はそのままだ。
 芭蕉が訪れる12年前、幕府の命を受けた河村瑞賢が西回り航路を整備したことで、最上川が注ぎ込む酒田は、北前船の寄港地として大きく発展していった。芭蕉が立ち寄った折にも、街に熱気があふれていたことだろう。
 険しい山中を抜けて日本海側に出た芭蕉には、ある種の達成感もあったのだろうか。

 暑き日を海に入れたり最上川

 スケールの大きな歌を詠んでいる。