
昭和から平成にまたがる、女たちの宿命の物語
雪ぶかい地方で、高度経済成長時代に青春を過ごした2人の母親。彼女たちの娘が停滞の次世紀に家庭を持った時、親族殺人が起きる
同じ北国の県に住む小学生だったという共通項のある2人の女性が主人公。2人の母親は同じ中学の同級生で、大人になってからも一度だけ顔を合わせる機会があります。このちひろと雅美の成長過程が冷静に記される果てには何が待っているのでしょうか。それぞれが日本の典型的な地方都市で育ち、平凡な夢を抱き、それが脆(もろ)くも崩れるわけですが、なぜそのような運命が2人を待っていたのかについては、ほとんど不可知のまま放置されているとも言えます。このブレを見せない作者の姿勢の元にある「史観」について考えをめぐらせるのも読者のたのしみです。(OS)