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6月25日(水)から27日(金)の3日間、余華さんは文藝春秋刊『兄弟』日本語版のPRのために来日。新聞、テレビ、通信社、週刊誌、ビジネス誌など10にも及ぶメディアの取材に応じ、それぞれ異なる切り口から、自著について、また中国の今について説かれました。

余華さん

余華さん

  いつもはTシャツ姿の飾らない余華さんですが、今回の来日にはメディア対応のため左胸に龍の刺繍の入ったジャケットを着用。「日本のメディアに出るのに身だしなみには気をつけろ と散々言われてね」と、日本在住の友人から指摘されることを照れくさそうに仰っていました。

  連日3本から4本のロングインタビューのスケジュールを縫うようにして、日本の書店も見学していかれました。東京駅の近くの大書店を訪れたこの日はちょうど『兄弟』発売日。そこで、早速ワゴンに積まれた日本語版を手に記念撮影。

  「前回、来日した際には、神田の古本屋街を見て回って、日本には小さな書店しかないかと思っていたけど、こんなに大きい書店もあったんだね」

NHK『週刊ブックレビュー』にて

NHK『週刊ブックレビュー』にて

八重洲ブックセンターにて

八重洲ブックセンターにて

丸善丸の内本店オアゾにて

丸善丸の内本店オアゾにて

週刊ブックレビュー( http://www.nhk.or.jp/book/ )

    【放送】BS2/7月19日(土)8:30~9:24    【再放送】BS2/7月20日(日)23:45~0:39

  本書は余華さんが10年ぶりに書いた小説とあって130万部を超える大ベストセラーになりました。と同時に、著者の新しい試みにこれまでのファンから大顰蹙も買って加熱した批評合戦は、「ニューヨーク・タイムズ」にまで「2006年最大の問題作は傑作? それともゴミ?」と報じられたほど。

  「出版したときには、『兄弟』も随分と叩かれて批判本まで出版されたけど、今は中国国内でもちゃんと評価されているよ」

  『兄弟』は、文学として評価されているだけでなく、ある大学教授の経済学の授業では副読本となっているのだといいます。

  余華さんは、作家デビュー前、川端康成を愛読するほどの日本文学好き。取材にきた記者にも、お薦めの作家を聞いていましたが、最近は村上春樹にはまっているのだとか。「川端や三島以降、日本文学に読んでおくほどのものを感じてこなかったけれど。ヨーロッパに講演に行くと、村上人気はすごくて、いろんな人から薦められた。読んでみて、これまで若者向けの作家と思ってずっと読まずにいたのが悔やまれたよ。彼はもう何十年かしたら、大作家の世界的地位を占めるようになっているだろうね」

余華さんから、日本の読者へのメッセージ

人間は数え切れないほどの欲望と感情を抱えていますが、現実生活では、ごくわずかな部分しか表現されません。けれど文学作品を読むことで、欲望と感情は発散することができます。

『兄弟』は強烈な欲望と感情の物語です。この物語を読むことで泣き、笑うことで、現実生活に長いあいだ抑圧されてきた欲望と感情から、解き放たれることができるかもしれません。

『兄弟』が、みなさんの心の健康の助けになることを願っています。

余華さん

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