第50回 2002
■五木寛之
デビュー以来、現代性に富んだ作品を常に世に問い続けてきた作家活動。また多岐にわたる文明批評、とりわけ日本人の高い精神性を平易な文章で説き、広汎な読者を獲得した功績
■杉本苑子
独自の視点と手法により歴史上の人物に新しい光をあてた豊潤な作品群に対して。またテレビラジオ放送講座によって日本の歴史を親しみのあるものとした功績
■松本幸四郎
歌舞伎役者の枠を越えて、二十六歳のときミュージカル「ラ・マンチャの男」に主演、今年千回上演を達成するなど、その充実した舞台活動に対して
■倉本聰とフジテレビ一「北の国から」制作出演スタッフ
二十一年間に及ぶ前人未到の長期シリーズにより日本人の原点を見つめなおし、世代を超えて感動を与えた
■国谷裕子キャスターと NHKテレビ「クローズアップ現代」制作スタッフ
発足以来十年、千六百回を超える番組で、身近な暮らしから政治、経済、国際情勢まで、現代が抱える諸問題を平易かつ的確にレポートし続けてきた功績
■風間完
長年にわたり新聞、雑誌に小説の挿絵を描きつづけ、情感あふれる美人画、風景画で独自の境地に達した画業

第51回 2003
■渡辺淳一
医学小説から歴史小説、恋愛小説に至る幅広い作品群、また最近作『エ・アロール』で老人問題に取り組むなど、時代の抱えるテーマに果敢に挑みながら、常に多くの読者を獲得してきた旺盛な作家活動に対して。
■沢木耕太郎
ノンフィクション作品においてユニークで清新なスタイルを確立、常に単身で息の長い取材を続け、質の高い作品を世に問い続けてきた功績。
■紀伊國屋ホール
一九六四年に開場して以来、多くの若い演劇人に表現の場を与え、日本の演劇や落語などの芸能を地道に育ててきた功績。
■長岡輝子
長年にわたる舞台女優、演出家としての活動、および方言を生かした朗読によって宮澤賢治作品の新たな魅力を引き出して一般に広めた功績。
■雑誌「國華」
一八八九年に創刊以来、百十余年にわたり、質の高い図版と論考によって、すぐれた美術工芸品を世界に紹介するなど、日本の美術史学界を主導してきた文化的偉業に対して。
■夢路いとし・喜味こいし
コンビ結成以来六十年以上、第一線に立ちつづけ、近代漫才の本道を行く話芸で日本の大衆芸能を豊かなものにした。

第52回 2004
■宮城谷昌光
中国古代王朝という前人未踏の世界をロマンあふれる雄渾な文体で描き、多くの読者を魅了した功績。
■木村光一と「地人会」
被爆した子供たちや母親たちの手記、日記などで原爆の悲惨さを訴える朗読劇『この子たちの夏─1945・ヒロシマ ナガサキ』を二十年にわたって全国で上演、また台本を公開して自主上演に協力し、多大な感銘を与え続けた実績。
■中村勘九郎
「コクーン歌舞伎」「野田版研辰の討たれ」「平成中村座」など歌舞伎の新たな可能性を探る様々な試みを成功させ、この七月にはニューヨークで「平成中村座」の「夏祭浪花鑑」を公演し高い評価を受けるなど、歌舞伎の魅力を世界に広げた功績。
■北海道新聞「道警裏金疑惑」取材班
北海道警の裏金疑惑を長期にわたって追及し、組織ぐるみの腐敗構造を明らかにした功績。
■保阪正康
独力で冊子「昭和史講座」の刊行を続け、無名の人々の証言や貴重な史料を残すべく努めるなど、一貫した昭和史研究の仕事に対して。
■平凡社『日本歴史地名大系』
地名研究の精髄を集約した郷土の歴史事典を二十五年にわたって刊行し続けた志と尽力に対して。

第53回 2005
■津本 陽
「乾坤の夢」「薩南示現流」など、歴史小説、剣豪小説に新境地を開き、さらに戦記文学へと幅を広げる旺盛な作家活動。
■蜷川幸雄
歌舞伎座7月公演「NINAGAWA十二夜」において、シェイクスピアと歌舞伎を見事に融合させた画期的な舞台を創造。歌舞伎の可能性を飛躍させた演出に対して。
■黒田勝弘
四半世紀にわたり韓国に特派員として駐在し、その政治、経済、歴史、文化のみならず日韓関係全般を、広く深く報道し続けた功績。
■テレビマンユニオン
表現の自立を目指した放送人たちが民放から独立、以来三十五年、「遠くへ行きたい」をはじめとする良質で息の長い番組を制作し続けてきた実績。
■野見山暁治、窪島誠一郎の戦没画学生慰霊美術館「無言館」
絵を描き続けることを願いながら戦没した画学生たちの遺作を集めて展示し、人々の心に感動を与え続けている営為に対して。
■日本スピンドル製造株式会社
R福知山線の事故に際して、社員約二百三十人が現場へ急行、負傷者の救助に当った決断と行動力をたたえ、救援活動に駆けつけた多くの人々の代表として。

第54回 2006
■小林信彦
純文学、エンターテイメント、評伝、映画研究、コラムなど多方面にわたってすぐれた作品を発表し、その文業の円熟と変わらぬ実験精神によって「うらなり」を完成させた。
■いしいひさいち
「鏡の国の戦争」「忍者無芸帖」「ののちゃん」など特異なキャラクター作りと鋭い風刺の効いた四コマ漫画を衰えぬパワーで描き、多くの読者を楽しませてきた手腕に対して。
■黒柳徹子と「徹子の部屋」
本人のたゆまぬ精進とスタッフの協力により、三十年間一回も休むことなく良質かつヴィヴィッドな対談番組を送りつづけている努力に対して。
■八木書店『徳田秋聲全集』
明治・大正・昭和三代にわたって活躍した作家の膨大な作品の発掘につとめ、十年間の歳月をかけて四十三巻に及ぶ貴重な大全集を刊行した。
■旭川市旭山動物園
人間と動物との新しい触れ合い方を多彩に創出し、廃園の危機から十年あまりで「入園者数日本一」まで育て、新たな動物園のスタイルを創設すると共に、地方活性化の新しい可能性を提示した。
■竹中文良と「ジャパン・ウェルネス」
医師としての知見とがん患者としての体験をもとに、がん患者とその家族の心の問題を追求する執筆活動の傍ら、NPO「ジャパン・ウェルネス」を設立、多くの患者と家族の心のケアにつとめた功績に対して。

第55回 2007
■阿川弘之
「阿川弘之全集」全二十巻に結実した六十年に及ぶ端正で格調高い文業と、今なお旺盛な執筆活動に対して
■市川團十郎
様々の困難を乗り越えて、パリ・オペラ座での史上初の歌舞伎公演を成功させ、日本の伝統文化の価値を国際的に認識させた
■講談社「全国訪問おはなし隊」
キャラバンカーに児童書を積んで全国を巡回し、幼稚園、図書館、公民館、書店などで、各地のボランティアと共に、読み聞かせや紙芝居など、子どもたちと本との出会いの場をひろげている
■桂三枝
永年にわたり幅広い活躍を続け、また上方落語協会会長として六十年ぶりの落語定席「天満天神繁昌亭」の建設、運営に尽力、上方落語を隆盛にみちびく
■小沢昭一
TBSラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で三十五年にわたり中高年へ励ましのメッセージを送り続け、また亡びゆく風俗や放浪芸の記録と紹介にも大きな役割を果たしている
■マツノ書店
地方の一個人古書店でありながら、明治維新史に関する貴重な文献の復刻出版などすでに二百点以上を刊行、社会的文化的貢献をおこなっている

第56回 2008
■宮尾登美子
「櫂」「一絃の琴」「松風の家」から今年出版された「錦」まで、日本の伝統文化や歴史の中の女性の生き方をテーマに数々の名作を執筆し続けている
■安野光雅
絵画、デザイン、装幀、文筆など多方面にわたるすぐれた業績と、その結晶ともいうべき「繪本平家物語」「繪本三国志」の刊行に対して
■北九州市立 松本清張記念館
地方財政が厳しい折から各地の公立文学館などが苦戦するなか、水準の高い研究誌を刊行しつつ、多彩な企画展を催すなど、健闘しながら開館十周年を迎えた
■かこさとし
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」など、 絵本作家、児童文学者としてのユニークな活動と、子供の遊びについての資料集成「伝承遊び考」全四巻の完成
■羽生善治
永世名人をはじめとする数々のタイトルを獲得し、将棋界の頂点に立ちながら、将棋の創造性、魅力をさまざまな形で発信している

第57回 2009
■佐野洋
作家生活50年、特に著作「推理日記」(現在第11巻)は、30年以上にわたって丹念にミステリー作品を論評した 貴重な推理小説文壇史となっている
■本木雅弘と映画「おくりびと」制作スタッフ
映画化の企画・実現に尽力。主演した「おくりびと」はアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、言語や宗教の壁を越えて、日本映画の実力を世界に示した
■坂東玉三郎
泉鏡花の戯曲「海神別荘」「天守物語」の決定版ともいえる優れた舞台をつくりあげた。正統的な歌舞伎のみならず近代劇、映像、中国昆劇と、その活躍の場をひろげている
■今井書店グループと「本の学校」
「地域から」を原点に、米子で「生涯読書の推進」「出版界や図書館界の明日を問うシンポジウム」「職能教育としての業界書店人研修」につとめてきた努力に対して
■蓬田やすひろ
歴史・時代小説の挿絵画家・装丁家として永年にわたり活躍、独自の繊細で流麗な画風は多くの人に愛されている
■高見山大五郎
ジェシーと呼ばれ、明るいキャラクターと異文化のもとで 厳しい稽古に耐える姿が共感を呼んだ。大相撲の国際化に 貢献し、世界各国から力士が集まる道を拓く

第58回 2010
■筒井康隆
作家生活五十年、常に実験的精神を持って、純文学、SF、エンターテインメントに独自の世界を開拓してきた。
■金子兜太
自由闊達な精神のもと、九十歳を越えてなお旺盛な句作を続けて現代俳句を牽引し、その魅力を全身で発信している。
■NHKスペシャル「無縁社会」
家族、ふるさと、地域や企業社会で人間の絆を失い、急速に孤立化する日本人。世代を超えて広がる新たな現代社会の病巣を丁寧な取材で抉りだし、警鐘を鳴らしている。
■JAXA「はやぶさ」プロジェクトチーム
プロジェクトがスタートして十五年、打ち上げてから七年、小惑星「イトカワ」に着陸し、数々の困難を克服して帰還を果たす。日本の科学技術力を世界に知らしめ、国民に希望と夢を与えてくれた
■吉岡幸雄
「染司よしおか」五代目当主として、伝統的な染色法による豊かな日本の色を探求し、古代色の復元と技法も究明した。東大寺等の伝統行事、国文学、国宝修復など幅広い分野に貢献している。
■中西進「万葉みらい塾」
グローバルな視点から「万葉集」の研究・普及に務める。七年前から始めた小中学生のための出前授業は四十七都道府県すべてを巡り、古代の心の豊かさを伝え続けている

第59回 2011
■津村節子
夫・吉村昭の闘病から壮絶な死までを描いた『紅梅』は、作家という存在の厳しさを改めて世に示し、多くの人々に深い共感と感銘を与えた。
■新藤兼人
独立プロを率いて多くの傑作映画を世に送り出し、九十九歳の日本最高齢現役監督として、今年は『一枚のハガキ』(監督・脚本・原作) を完成させた。
■石巻日日新聞社と河北新報社
3・11東日本大震災で被災、数々の困難に直面しながら、地元新聞社としての役割と責務をそれぞれの報道において果たした、そのジャーナリズム精神に対して。
■前新透「竹富方言辞典」(南山舎)
前新透氏が二十七年の歳月をかけて採集した方言を収録し、日本最南端の出版社から刊行されたこの辞典は、琉球語と日本語の古層、民俗を研究するための貴重な文化遺産である。
■澤 穂希
日本女子サッカーの歴史を切り拓き、「なでしこJAPAN」の中心選手として活躍、チームをまとめあげたリーダーシップに対して。
■水戸岡鋭治
今春に開通した九州新幹線など、永年にわたり手がけてきた斬新な鉄道デザインの数々は、上品さ・遊び心・和の風合いと最新技術を大胆に融合させ、列車旅の世界を革新した。

第60回 2012
■曾野綾子
永年にわたる文学者としての業績、鋭く社会問題に斬り込んだ評論活動、JOMAS(海外邦人宣教者活動援助後援会)を通じた開発途上国の貧困救援活動への献身
■高倉健
最新作「あなたへ」をはじめとする五十有余年におよぶ活躍と、孤高の精神を貫き、独自の境地を示す映画俳優としての存在感
■東京新聞「原発事故取材班」
福島第一原発事故はなぜ起きたのかを調査報道の手法で探り、情報を隠蔽しようとする政府・東京電力を告発し続けた果敢なるジャーナリズム精神に対して
■近藤誠
乳房温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を、一般人にもわかりやすく発表し、啓蒙を続けてきた功績
■伊調馨と吉田沙保里
ロンドン五輪の女子レスリングで金メダルを獲得し、日本人女子として初の五輪三連覇という偉業を成し遂げた
■新潟県佐渡トキ保護センター
トキを日本に甦らせるため、人工繁殖、自然放鳥を地道に継続し、二〇一二年四月、三十六年ぶりの自然下における繁殖を成功させた努力に対して

第61回 2013
■中川李枝子 山脇百合子
誕生五十周年を迎える「ぐりとぐら」シリーズや「いやいやえん」など、数々の名作絵本、童話によって、子供たちの豊かな想像力と感性を育んできた功績。
■竹本住大夫
八十八歳のいまも文楽の人気太夫として活躍。戦後の文楽を牽引し、昨年、病気で倒れた後もリハビリを経て舞台に復帰、語り続ける情熱に対して。
■NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」
国立科学博物館およびJAMSTEC(海洋研究開発機構)との十年余の調査を経て、世界で初めて伝説のダイオウイカの撮影に成功。深海の生物の映像を広く紹介し、国民的関心を呼んだ。
■中村 哲
医師としてパキスタン・アフガニスタンの山岳地帯で医療活動を行なう。また、アフガン難民の対策事業、井戸掘りによる水源確保など三十年にわたるその活動と努力に対して。
■サザンオールスターズ
デビュー三十五周年の今日まで、その音楽性、キャラクター、メッセージで現代日本の文化に多大な影響を与えてきた。これからも走り続ける日本を代表するバンドに。

第62回 2014
■阿川佐和子
一九九三年に始まった週刊文春の連載対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」が1000回を達成。著書『聞く力』、テレビ番組の司会など、幅広い分野で読者、視聴者に支持されてきた
■白石加代子
早稲田小劇場での初舞台から約半世紀にわたり活躍。怪談会を模した朗読劇「百物語」は二十二年間続け、本年九十九話で幕を下した。独りで様々な人物を演じ分け、観客に恐怖と感動を与えた
■毎日新聞特別報道グループ取材班「老いてさまよう」/NHKスペシャル「認知症行方不明者一万人 〜知られざる徘徊の実態〜」
認知症の身元不明者という極めて今日的なテーマについて、それぞれ新聞とテレビにおいて報道。家族との再会が実現し、国も実態調査に着手するなど、報道が社会を動かすきっかけとなった
■タモリ
三十二年にわたって生放送の司会を務めた「笑っていいとも!」をはじめ、「タモリ倶楽部」「ブラタモリ」など独自の視点をもつ数多いテレビ番組の「顔」として、日本の笑いを革新した
■若田光一
二〇〇九年に国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションを達成、二〇一三年十一月から一四年五月までの滞在ではISSコマンダー(三月〜五月)の重責を果たすなど、日本人初の快挙を成し遂げた

第63回 2015
■半藤一利
『日本のいちばん長い日』をはじめ、昭和史の当事者に直接取材し、常に「戦争の真実」を追究、数々の優れた歴史ノンフィクションによって読者を啓蒙してきた
■吉永小百合
長年にわたる女優としての活躍はもちろん、広島、長崎の原爆詩の朗読会を三十年にわたって続けており、東日本大震災についても被災者の詩の朗読を通して復興支援に尽くしてきた
■NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京」「カラーでみる太平洋戦争」
歴史的に貴重なモノクロ映像を国内外で収集し、徹底的な時代考証を行ったうえで、最新のデジタル技術を駆使してカラー化に成功。鮮明に蘇った映像は、視聴者に近現代史を体感させた
■本の雑誌
従来の書評誌になかったエンタテインメント中心の書評、ユニークな特集、個性的な執筆陣などで日本の出版文化に独自の存在感をアピール。本年で創刊四十周年を迎えた
■国枝慎吾
車いすテニスのシングルスで五度の年間グランドスラム、パラリンピック二連覇など輝かしい実績を挙げたことに加え、いち早くプロに転向しての活躍は、障害者スポーツに関わる人々に夢を与えた